つらい不眠症の原因別の対策とは?
不眠症の定義は、「夜、眠れないという自覚」に加えて、「日中の活動に支障が出る」ことが必要な条件です。
「夜、眠れない」タイプの不眠症は、睡眠障害の中でもとても多くの方が悩まされている症状で、日本人の約20%(5人に1人)が睡眠の問題を抱えているという結果も報告されています。
一言で眠れないと言ってもその症状は様々で、原因も色々なことが考えられます。眠れないと感じている人は、自分がどういうタイプの不眠なのかわかっていると、対策や改善もしやすいでしょう。
入眠障害「なかなか寝つけない」の原因は自律神経の乱れと体内時計のズレ
入眠障害は、夜になって布団に入っても、なかなか寝つくことができず、入眠までに30分以上かかってしまう症状が、長い間続く不眠症です。この症状は、男女問わず幅広い年齢の人にみられます。
対策として、原因の自律神経の乱れと体内時計のズレを改善していくことが大事です。自律神経は、休憩モードの副交感神経と、活動モードの交換神経が、自分では無意識のうちに活動しています。
自律神経が乱れて眠れないというのは、夜になって眠ろうとしたときに、本来なら副交感神経が優位なはずのところで、活動モードの交感神経が優位になっている状態です。これを副交感神経が優位になるようにするのです。
ゆっくり深呼吸をしたり、ストレッチやマッサージなどで、筋肉のこわばりをほぐしてあげることで休憩モードに入りやすくなります。
中途覚醒「夜中に何度も目が覚める」の原因はストレス、夜間頻尿、睡眠時無呼吸症候群など
中途覚醒は、眠りにつくまでは問題ないのですが、夜中に何度も目が覚め、その後再び眠れなくなってしまう不眠症です。高齢者に多くみられ、60歳以上になると5人に1人はこの症状に悩まされています。
運動不足になると、眠りに必要なホルモンの分泌が減ってしまうので、深い眠りにつくことができません。日頃からウォーキングをしたり階段を使うなど、適度な運動をを習慣にすると、自律神経が整います。
また、夕方以降に、利尿作用のあるコーヒーやアルコールを摂っていると、夜間頻尿が起こりやすくなるので、利尿作用の強い飲み物は控えるようにしましょう。睡眠時無呼吸症候群は、何か大きな病気が隠れているかもしれないので、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
早朝覚醒「朝やたら早く目が覚める」の原因は体内時計のズレと精神的な問題など
予定していた起床時間より、やたら早く目が覚めてしまい、まだ眠っていたいのに眠れなくなってしまう不眠症を早朝覚醒といいます。
早寝早起きの朝方生活が習慣になっている高齢者の、特に男性に多くみられます。また、年齢に関係なくうつ病の初期症状としても現れることがあるので注意が必要です。
体内時計のズレは、体内時計が前倒しになっていることが多いので、正しい朝のタイミングを脳に伝えることで、体内時計をリセットすることが大切です。朝、早く目が覚めてしまっても、太陽が昇るまでは、強い光を見ないようにして、部屋も薄暗くしておきましょう。
日中は、外に出るなどして太陽の光をしっかり浴びるようにしましょう。夕方以降は蛍光灯などの強い照明は避け、間接照明などを利用しましょう。
不眠症の原因はストレス?うつ?
不眠症の原因は、人によって様々ですが、何かしらのストレスが、原因の1つになっていることが多いです。
ストレスといっても色々あるのですが、物理的ストレス、身体的ストレス、精神的ストレスなどがすぐに浮かんでくると思います。
このうち、不眠症に関係するのは精神的なストレスで、一時的な急性ストレスよりも、長い期間続く慢性のストレスの方が、不眠を長期化させたり、体調に悪い影響を及ぼしたりしやすいといわれています。
急性のストレスは、例えば明日大事な会議を控えていると、前日の夜は緊張して眠れなくなったりしますが、会議が終わってしまえば、そのストレスもなくなり、すぐに眠れるようになります。慢性のストレスは、悩み事などが解決しないまま眠れない日々が長く続いてしまいます。
ストレスが原因の不眠症の対処法は無理に眠ろうとしないこと
布団に入ってもなかなか眠れないときは、無理に布団に入っていないで、いったん布団から出てリラックスしましょう。
ぬるめのお湯にゆっくりつかる、ホットミルクやハーブティーを飲む、アロマやストレッチなど、自分のお気に入りのリラックス方法をみつけると良いでしょう。寝る前にリラックスできれば、副交感神経が優位になり、眠りに入りやすくなります。
うつ病患者の9割が不眠症状などの睡眠障害を抱える
うつ病は自分ではなかなか気づきにくいものです。うつ病のときに現れる不眠の症状は、主に早朝覚醒で、うつ病と一緒に起こることがとても多いと言われています。
うつ病が原因で起こる早朝覚醒の場合は、予定より早く目が覚めても、なかなか布団から出る気力が出ないのが特徴です。気分の落ち込みや身体が重いなどの症状がある時は、医療機関を受診してみることをおすすめします。
アルコールや喫煙も不眠症の原因に
ストレスや疲れを和らげるために、飲酒や喫煙をする方も多いと思います。
確かに飲酒や喫煙は一時的にはリラックスできますが、熟睡を妨げる原因にもなるのです!寝つきを良くするためには、リラックスして副交感神経を優位にすることが大切です。喫煙によるリラックス効果はありますが、寝る前のリラックスには向いていないのです。
また、アルコールには睡眠導入に役立つような効果もありますので、アルコールを摂取してから眠ると、脳の覚醒も抑えられ、熟睡できたように感じますが、実際には熟睡できていないのです。
飲酒は寝る3時間前がベスト
不眠に悩む人の3割が不眠解消法としてお酒を活用しているそうです。確かに、お酒を飲むと寝つきは良いわけですが、そのあとの睡眠が浅くなってしまうのです。アルコールを飲むと、2~3時間後にはアセトアルデヒドという毒素に分解されるため、喉が渇きます。
喉が渇くと、交感神経が刺激されるので、目が覚めてしまうのです。そのため、アルコールを飲む場合は、寝る3時間前まで済ませておくことがベストです。日本酒なら1合、ビールなら中~大ビン1本、ワインならグラス2杯が限度として楽しみましょう。
寝酒はやめて、夕食のときに晩酌としてお酒をたしなむのが良いですね。
喫煙している不眠症患者は非喫煙の不眠症患者の4~5倍にのぼる
タバコに含まれているニコチンには、アドレナリンの分泌を促して、脳を覚醒させるはたらきがあります。寝る前の一服は、リラックスするどころか、脳が覚醒してしまい寝つきを悪くするのです。
さらに、寝つきを悪くするだけでなく、眠ってからも質の良い睡眠がとれなくなります。そのため日中は眠気が続き、目を覚まそうとタバコを吸うので悪循環になってしまいます。
禁煙すると、少しの間はニコチン中毒の禁断症状が出るので、不眠の状態は続きますが、それを乗り越えれば、質の良い眠りが得られるようになるでしょう。
寝る前のパソコン・スマホには要注意!肩こりも!不眠症の原因
20代~30代では、2人に1人以上が就寝直前までスマホを利用しています。その、寝る前のスマホをしている人の70%近くの人に不眠症の疑いがあるのです。
スマホやパソコンなどが放つ青白い光(ブルーライト)は、私たちの体内時計に影響を与えます。ブルーライトを浴びることで、体内時計が乱れるのです。脳が興奮状態になり、体内時計が後ろにずれることで、不眠の症状が出るのです。
脳が寝る体制に入るためにも、寝る1時間前はスマホを控えるようにしましょう。
ブルーライトカットのメガネをかけて対策する
ブルーライトの対策として販売されているブルーライトカットメガネというのがあります。メーカーやモデルによって「ブルーライトカット率」が30%~50%とさまざまですが、平均的な商品でも30%くらいはカットしてくれます。
目がシバシバするのをかなり抑えてくれるので、目の保護に大きな効果が期待できます。
さらに姿勢の悪化や眼精疲労で肩こりが悪化することも
スマホをいじっているときは、うつむいた状態になりがちです。人間の頭は重いので、この状態が長く続くと、首の骨や筋肉に大きな負担がかかります。また、自律神経の働きも悪くなるため、様々な悪影響が出てきます。
下向きの姿勢を長い時間続けていると、ストレートネック(首のけい椎が直線的な配列になってしまう病気のひとつ)になってしまう可能性が高くなります。この状態になると、肩こりや首の痛み、頭痛、めまいなどを起こしやすくなります。
スマホからは高周波電磁波が発生しています。この電磁波を浴びることによって、頭痛や吐き気、めまいなどが起きて眠れなくなることもあります。
不眠症の原因は高血圧?いびき?中途覚醒してるかも
睡眠中に頻繁に呼吸が止まり、起きても熟睡感が無く、日中強い眠気を感じたり、集中力の低下や疲労感、活力や記憶力の低下を自覚した場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性が考えられます。
このようなことが一晩中繰り返されるので、よく眠れず、昼間眠くなるという症状が起きるのです。無呼吸状態から呼吸が再開するとき、身体は寝ている状態でも脳は起きた状態になります(覚醒反応)。
同時に、睡眠が一時中断状態になり、交感神経が高ぶるので、血圧が高くなります。睡眠時無呼吸症候群の予兆として「大きないびきと睡眠中に呼吸が止まる」ことが挙げられます。
不眠症の原因は運動と栄養で改善できる
睡眠を、老化現象と考えると、体の老化と同じように、脳のアンチエイジング(脳の老化を改善する)をすることで、不眠の改善が可能です。アルコール、カフェイン、タバコなど、睡眠に悪影響を及ぼすものを摂らないようにしましょう。
脳の機能に悪い影響を及ぼすものとして、錆びた油、甘いものの摂り過ぎ、保存料などの添加物があげられます。これらを控えることで、睡眠の質を改善できる可能性もあります。
体の全体を動かす軽い有酸素運動がおすすめ
ラジオ体操やウオーキングなど、体全体を動かす、軽い有酸素運動がおすすめです。あまり激しい運動は、交換神経が活発になりすぎて、特に寝る前などは逆効果になるのでおすすめできません。
脳の神経細胞の隅々に栄養を行きわたらせよう
脳の機能を高めるのに重要なのが、栄養素をしっかり摂ることです。必要なのは、ビタミン、アミノ酸、ミネラルです。必要な栄養素が十分に摂れていれば、脳の神経細胞の隅々まで栄養が行き渡り、脳が正常に活動を始めます。
食事を改善しても、十分な効果が得られないときは、サプリメントで補うこともできます。