かかとの角質がかたくなる理由
人間の皮ふは、内側から皮下組織、真皮、表皮の3層がかさなってできています。いちばん外側の表皮では、ターンオーバーという肌の新陳代謝によって、常に新しい皮ふをつくり、古い皮ふは肌のアカとして捨てています。
古くなって肌のアカとなり、体の外へ捨てられてしまう一歩手前の皮ふが角質です。ですから、人間の皮ふは全身が角質で覆われているということになります。
角質は、体から水分が出ていくのを防ぎ、エアコンなどの乾燥した環境から皮ふを守って、皮ふを滑らかにやわらかく保つ働きがあります。角質はターンオーバーなどの代謝の低下や、肌の乾燥、摩擦などの刺激、冷えなどで、必要以上に厚くかたくなってしまいます。
角質がかたくなると、肌が白っぽく粉をふくようになったり、特にかかとの角質がかたくなると、痛みやひび割れなどのつらい症状も引きおこしてしまいます。
代謝の低下
皮ふのいちばん外側にある表皮は、内側から基底層、ゆうきょく層、かりゅう層、角質層の4層に分かれて重なっています。
新しい皮ふの細胞は基底層でつくられ、肌の新陳代謝によって、ゆうきょく層、かりゅう層とだんだんと外側に押しあげられ、最後には角質層の角質(皮ふのアカ)になってはがれ落ちていきます。
肌の新陳代謝のしくみのことをターンオーバーといいます。ターンオーバーで角質層が正常に生まれかわっていれば、かかとは良い状態を保つことができます。
老化やストレスなどにより代謝が低下し、ターンオーバーがスムーズに行われなくなると、本来はがれ落ちるべき角質がそのままになり、かかとのガサガサが出来あがってしまいます。
乾燥
顔のケアと一緒ですがかかとも肌のひとつなので、乾燥やうるおい不足はかかとの角質がかたくなる原因になります。人間の肌には汗腺と皮脂腺があり、汗をだして体温を保ち皮脂をだしてうるおいを保っています。
足のウラにあるのは汗腺だけで、皮脂腺がありません。皮脂をだして肌を乾燥からまもることができないので、足のウラは乾燥がおきやすい箇所です。足のウラが乾燥すると、かかとや指先を中心に角質が異常にかたく厚くなってしまいます。
乾燥してかたくなったかかとをケアせずにいると、立ったり歩いたりしてかたいかかとに大きな力を加えた時に、ひび割れなどのトラブルをおこしやすくなります。
かかとのひび割れの場合、角質の表面のひび割れがまだやわらかい角質やその下の表皮、真皮、皮下組織までまき込んで大きなひび割れになることも多いです。
大きくひび割れたところは出血して痛みをともない、歩くのもつらい状況になってしまいます。あかぎれの出血や炎症がおきることもあります。
歩き方が悪い
歩いたり立ったリなどの、かかとへの負担や紫外線などの外部刺激によって角質は乾燥してあれた状態になり、かかとがかたくなります。
形やサイズが合わない靴や、ヒールの高さが自分の足に合わない靴で歩いていると、強く圧迫されたり、ゆるくてこすれたりして、足に負担がかかります。適度な運動は健康によいとされていますが、運動によるかかとの摩擦も、かかとがガサガサになる原因です。
ネコ背などで歩く時の姿勢がわるかったり、歩き方に変なクセがあったりしても、体のバランスがくずれ足の一部におおきな負担がかかりやすくなります。
人間の肌に紫外線があたると、皮ふの中のメラニンが紫外線を吸収して肌あれや病気を防いでくれます。メラニンは皮ふの中のメラノサイトによって作られますが、足のウラにはそのメラニンをつくる肝心のメラノサイトがありません。
かかとに紫外線があたると、直接ダメージを受けやすくかたくなりやすいのです。暑い時期の女性の靴には、かかとの大きくあいたデザインのパンプスや、ミュールなどのサンダルも多いので、きちんとした保湿ケアが必要です。
足が冷えている
新陳代謝の低下で、ターンオーバーが遅くなります。ターンオーバーが遅くなると、かかとの角質がはがれ落ちにくくなり、だんだんとかたさや厚みを増してしまいます。足が冷えているのは、体内の血やリンパの流れがわるくなっている証拠です。
血行不良やリンパの流れの低下によるむくみは、肌のターンオーバーを遅らせ、古い角質が自然にはがれ落ちる力をよわめてしまいます。血の流れによって栄養や水分をいきわたらせることが出来ないため、角質が弾力を失い、ちょっとしたことでひび割れや裂けが生じてしまいます。
かかとの角質ケア!やすりで削る方法
角質の厚さは、体の部位によって変わります。顔の角質が7~15層であるのに対して、体の全体重をささえるかかとの角質は100層以上もの厚い層によってできています。
角質がかたくなるのはかかとに限ったことではないのですが、かかとのように層が厚い角質がかたくなると、ダメージのスケールが大きいのです。簡単にかかとの角質を取る方法は、やすりで削ることです。
角質をこすったり削ったりするのは即効性があるため、ついやりすぎてしまいがちですが、こすりすぎや削りすぎは角質をさらにかたくしてしまう原因にもなります。
週に1回程度からかかと専用のやすりで角質を削り、かたさが改善されるにつれだんだんと回数を減らしていくのがよいでしょう。角質を削りすぎないことと、保湿ケアをしっかりやることが大切です。
1.入浴やフットバスで足をつけて、角質を柔らかくする。
2.かかとを軽くタオルドライして、かかとの荒れがひどい場合はやすりの粗い方で、軽い場合はやすりの細かい方で力を入れず、一定方向に動かして角質を除去する。
3.やすりを使ったところ全体を、軽く細かいやすりで優しくなぞって表面を整える。
4.タオルドライ後、化粧水をつけてハンドクリームをたっぷり塗り、上からサランラップで覆う。
5.就寝前なら、その上に靴下をはいて寝る。
かかとの角質ケア!お酢で取る方法
お酢を使った足湯でかかとの角質を取る方法は、お酢の酸性が角質をやわらかくしてくれるだけでなく、足のにおいや水虫にも効果があるといわれています。
かたいかかとの角質取りには、リンゴ酢とお湯を1:3の割合で混ぜあわせた洗面器やビニール袋にかかとを浸し、30分ほど温めてかかとをふやかします。その後、かかと専用のやすりで軽くこすって角質をとり、お湯でながして終了です。
やすりでかかとを削る方法と同じく、週に1回程のペースにとどめることで、肌にもやさしくだんだんときれいな足をつくることが出来るでしょう。
かかとのかたさの程度によって時間はかかりますが、効果をあせって長い時間ふやかしてしまったりすると、つよい酸性が角質のかたくなっていない皮ふのダメージになります。やわらかくなったかかとを強く削ったりするのもNGです。
お酢を使ってかかとの角質を取る方法では、あせらずじっくりやることが大切です。
かかとの角質ケア!おすすめのクリーム
かかとの角質ケアで大切なのはターンオーバーの正常化としっかりした保湿です。適度なピーリングで肌の代謝をうながし、保湿クリームでうるおいを保ちましょう。
かたさの程度のかるい乾燥なら市販のハンドクリームを足にぬるだけでも大丈夫ですが、ガサガサがひどいかかとには、それなりの成分が配合されている保湿クリームを選ばなければなりません。
小林製薬・プリティ 角質除去クリーム
スクラブ配合で、かかと・ひじ・ひざの、かわいた肌にぬってこするだけで、余分な角質や汚れをしっかり取りのぞく、ピーリング効果があります。角質を取りのぞくクリームなので、使用後には保湿ケアが必要です。
楽天市場:小林製薬プリティ角質除去クリーム
よーじや・角質ケアくりーむ
かたくなった角質にうるおいをあたえ、尿素のはたらきでしっとりなめらかな肌をつくる、高保湿の角質集中ケアクリームです。肌にすっとなじみ、さらっとした使い心地です。
よーじやオンラインショップ:角質ケアくりーむ
ドクターショール・ディープモイスチャライジングクリーム
フットケア専門ブランドをもつドクターショールの、ディープモイスチャライジングクリームは、かかと用に開発された高保湿クリームです。かかとのガサガサだけでなく、いろいろな足のなやみにむけた商品を取りそろえており、口コミによる評価も高いブランドです。
Amazon:ドクターショール・ディープ・モイスチャライジング・クリーム
かかとの角質ケア!おすすめの機械
かかとの角質ケアには、専用の機械も販売されています。かかとにすべらせて使うだけで、ツルツルすべすべのかかと作りが出来ます。
やすりを使って自分でかかとを削るケアでは、¥力加減がむずかしく、角質を削りすぎてしまったり、まわりの皮ふまで傷つけてしまうリスクもあります。また削った皮ふがポロポロまわりに落ちるので、場所をえらんで作業をしないといけません。
角質ケア用の機械には、皮ふに強くあてすぎると自動で止まるストッパー機能や、削った皮ふの飛びちり防止機能がついているものも多く、安全でラクな角質ケアができます。
ドクターショール・角質リムーバー
フットケア商品市場で売上実績No.1!フットケアブランドのドクターショールの電動角質リムーバーです。全世界で3,200万人が愛用していることからも、効果の高さがうかがえます。電池式でくり返し使用が可能です。
amazon:ドクターショール・ベルベットスムーズ・電動角質リムーバー
パナソニック・角質クリア
もともと人気の高かった角質クリアES2502Pの生産が終了し、バージョンアップして発売されたのがこちらの角質クリアES2502PPです。2種類のアタッチメントがあり、かかとの角質をトータルにケアでき、b>電池式でくり返しつかえます。
パナソニック:角質クリアES2502PP
やってはいけない!かかとの角質NGケア
こまめな角質ケアは大切ですが、やり方によっては逆に肌の負担になり、角質がよりかたくより厚くなる原因になります。かかとの角質ケアで気をつけなければいけないポイントをご紹介します。
入浴時
かかとの角質ケアの前には、お湯などでしばらく足をあたためて皮ふをやわらかくしておくと、スムーズに角質を削ることができます。しかし、あまり皮ふをふやかし過ぎてしまったり、かかとが濡れたままやすりをかけてしまうと、角質の削りすぎをまねきます。
入浴時にはお風呂の湿気や温度で皮ふがとてもふやけてやわらかくなっている状態なので、かかとを守るために必要な角質まで削ってしまいがちなのです。
軽石や金属へらの使用
軽石や金属ヘラでの角質ケアは昔からおこなわれてきた方法で、悪い方法ではありません。
しかし、角質とり専用のやすりやリムーバーが開発されてきたことからも分かるとおり、これらの方法にはやり方にコツがあって、正しくやらないと肌によけいに負担をかけてしまいやすいのです。
傷んだかかとはとてもデリケートな状態になっているので、軽石や金属へらで強くこすると角質を取るどころか新しい外部刺激となって、内出血やさらにかたい角質をつくることになります。
つけおきタイプの角質ケア
かかとの角質を削らずになおす方法として、手軽なつけおきタイプの角質ケアパックも人気のある方法のひとつです。
古くなった角質をはがす作用のある薬品がはいったパックに足をひたしてしばらく置き、薬品を足にしっかり染みこませると、数日後に角質が自然にはがれてくるというスグレモノです。
長ければ2時間ほど薬品を足に染みこませる方法のため、肌の弱い人にかぶれが出てしまうことがあり、つけ過ぎには注意が必要です。
角質がはがれ始めるとついはがしたくなってしまいますが、誘惑にまけて無理やりはがしてしまったりすると、必要な皮ふまではがしてしまい、出血などのトラブルをまねきます。自然にはがれ落ちるのを待ちましょう。
頻度が多い
ガサガサかかとが気になりだすと、早く治したくて一週間に何度もケアしてしまいがちです。
必要以上のケアはかえって肌を傷つけ、かたいかかとを作る原因になります。
かかとの角質ケアは、多くても週に1回にとどめ、肌の自然なターンオーバーの力を落とさないようにしましょう。角質はガサガサかかとの原因でもありますが、よい状態を保つことができれば、肌の表面で体を守ってくれる大切なバリア機能をもっています。