高リン血症の初期症状から進行するとどうなるか?防ぐための注意点は? |

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高リン血症の初期症状から進行するとどうなるか?防ぐための注意点は?

リンを含む食べ物とは?高リン血症はなぜなるの?

リンと聞いても食品や成分などに詳しくないと「なんのこと?」と頭の中でははてなマークが飛び交いますよね。

体に必要な元素であるリンはあらゆる食品に含まれています。通常の食事で摂りすぎることはないといわれていますが、偏った食事などでリンが多く含まれている食品を食べ過ぎるとリンを過剰に摂取してしまいます。リンを過剰に摂取するとどうなるのかを知っておきましょう。

リンをとりすぎるとカルシウムとのバランスが崩れる

リンを摂りすぎるとカルシウムのバランスが崩れて骨密度が減少します。

骨密度が減少すると、骨の内部がスカスカの状態になるので、骨粗しょう症を引き起こしたり、骨折のリスクが上がります。偏った食生活でカルシウムまで不足していると骨の形が変形したり、骨の重量が少なくなるなどのトラブルが起こります。

また腎臓でリンの吸収を抑える働きをもつ副甲状腺ホルモンというものがありますが、リンの過剰摂取によってこのホルモンが多く分泌されるようになります。副甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると腎不全や腎臓結石を引き起こす恐れがあります。

ただ骨の密度や形が変わるだけでなく、腎臓の重たい病気まで引き起こしてしまうので、リンが含まれているものを過剰に摂取しないように気をつけましょう。

ハムやソーセージなどあらゆるものに含まれるリン

ではリンはどんな食品に含まれているのか?という疑問が浮かびますよね。実は私たちの周りにあるごく普通の食品にたくさん含まれているんです!何気なく食べていたものも、リンの過剰摂取を招くかもしれないと思うと怖くなりますよね。

しかし過剰に食べなければリンを摂りすぎることはないと考えられているので安心しましょう。主にリンを含んでいるのは以下の通りです。

  • ハムやソーセージなどの肉類や魚類
  • 乳製品
  • 清涼飲料
  • 食品添加物など

リンといってもリン酸塩やピロリン酸、ポリリン酸とさまざまな種類があります。またタンパク質にはおよそ1%のリンを含むともいわれているので、リンを含んでいない食べ物となるとかなり限られるんです。

そのためリンを摂らない、リンのない食品をと考えると疲れてしまいます。大切なのは食べ過ぎや飲みすぎでリンを過剰に摂取しないことです。

乳製品にはリンが多く含まれ高リン食品にあたる

チーズの濃厚な味が大好き、牛乳が大好き、ヨーグルトが大好き、と乳製品が好きな人もいますよね。

しかし乳製品って実はリンが多く含まれている食品で、「高リン食品」と呼ばれているんです。では食べてはいけないの?と心配になると思いますが、食べ過ぎに注意すれば良いので、安心しましょう。

しかしちょっとの量でもリンを多く含んでいるので、人によってはすぐに高リン血症になる恐れがあります。食べ過ぎていた、毎日食べているという場合には高リン血症の可能性があるので、検査を進めながら食べるのは一旦様子を見た方が良いでしょう。

牛乳の飲みすぎで高リン血症になる可能性が・・

カルシウム摂取のために牛乳を毎日飲んでいる、という人もいるでしょう。しかし牛乳は高リン食品です。リンにはカルシウムの吸収を阻害する働きがあります。ここであれっ?と思いますよね。

カルシウム摂取の目的で飲んでいた牛乳でも、含まれているリンによって吸収が阻害されていたら、カルシウムって結局摂取できてない!なんて事態になるんです。

カルシウム摂取を牛乳と他の食品で行っているならまだマシなんですが、牛乳だけに頼っている場合には逆にカルシウム不足に陥っている可能性があります。また高リン食品なのでリンの過剰摂取に協力していた、なんてこともあります。

牛乳は健康のためと飲み続けている人は、いったんその危険性を見直した方が良いでしょう。


高リン血症とはこんな病気・症状

ではリンを摂りすぎるとどんなことが起きるの?という疑問につながりますよね。

リンを摂りすぎると高リン血症という病気が引き起ります。高リン血症とは低カルシウム血症を引き起こすといわれていて、血清リンの値が5.0mg/dl以上で診断がつきます。高リン血症自体に自覚症状はありませんが、低カルシウム血症の症状が代わりに現れます。

手足のしびれや唇の震え、嘔吐や下痢など些細なことから始まり、重症化すると筋肉のけいれんや心収縮力の低下、白内障などが引き起ります。名前から「ただリンの値が高いだけ」「カルシウムが足りないだけ」と楽観視や勘違いをしていると大変な事態を招いてしまいます!

現代人はリンを過剰に摂取しやすいといわれているので、自分にもその危険があることを知っておきましょう!

腎臓の衰えで

リンの過剰摂取や腎臓の衰えが原因で高リン血症は持続します。通常、腎臓が健康な状態であれば、高リン血症になってもすぐに治るといわれています。

しかし、長期に渡って高リン血症を発症する場合には腎不全が考えられ、尿からリンを排出できないため、血清リンの値が高いままになってしまいます。

腎臓は体の中の余分な成分や老廃物を尿として排出してくれます。腎臓が衰えるとこうした病気を招いてしまうので、リンの摂りすぎや過労やストレス、偏った食事などは腎臓に重い負担をかけます。

普段の自分の生活内容が腎臓を傷めてしまう恐れもあるので、規則正しい生活を送るようにしましょう。

罹患しやすい人

高リン血症を引き起こしやすい人は腎臓機能が低下している人です。偏った食事や乱れた生活習慣などが原因で腎臓機能が弱まると、腎臓でリンが尿として排出しづらくなってしまい、高リン血症を引き起こします。またリンの過剰摂取期間が長いのも原因の一つです。

初期は症状がでないことも

高リン血症、低カルシウム血症は初期では症状が出ないことが多く、自分が高リン血症や低カルシウム血症に罹っていると自覚することができません。

症状が悪化するにつれて嘔吐や下痢、手足のしびれといったものが現れ、重度になると筋肉や腸管がけいれんを起こします。高リン血症や低カルシウム血症に気づくためには自主的な検査がとても大切です。

症状が現れていないから安心、というわけではないんです!初期は症状が現れないからこそ、早めの発見がとても重要です。

低カルシウム血症の症状が

高リン血症を発症すると低カルシウム血症をも引き起こします。高リン血症の症状は血清カルシウムイオンや腎臓での活性型ビタミンDの生成を低下させます。

高リン血症の症状は主に体内で起こるので、私たちが自覚症状として確認できるのは血清カルシウムが低下したときの「低カルシウム血症の症状」だけです。低カルシウム血症になると嘔吐や下痢、手足のしびれなどが引き起ります。

また高リン血症を放置することでリンとカルシウムが結合して骨ではない組織に沈着してしまう「異所性石灰化」、副甲状腺ホルモンの分泌が過剰になって引き起こされる「二次性副甲状腺機能亢進症」なども合併症として現れる恐れがあります。

このようにリンを摂りすぎると、腎臓が悪くなるだけでさまざまな健康被害が現れ始めてしまうんです!


体内の血液からリンが排出されない・高リン血症の原因は?

高リン血症の主な原因は腎機能の低下による腎不全がですが、実はそれだけではありません!

考えられる原因として以下のようなことが挙げられます。

  • 普段からのリン食品の過剰摂取
  • 腎臓がリンを排出しきれていない
  • 骨からの遊離
  • 細胞内から細胞外へ移動してしまっている

腎臓の機能が低下すると十分な尿を作れないのでリンが排出しきれなくなってしまい、血清リンの値が上がります。また細胞内に多く含まれているリンが、細胞の破裂などで細胞外に出てしまう、移動してしまうことも考えられます。

健康な人であればリンを摂取しても同じくらいの量のリンが尿として排出されますが、腎臓機能が低下していると排出できるリンの量も減ってしまいます

高リン血症・腎不全が原因の場合は呼吸障害も

高リン血症や腎不全が悪化すると呼吸に障害を引き起こすこともあり、大変危険です。

腎不全が慢性化するにつれ、高リン血症や低カルシウム血症を引き起こしやすいので、腎臓に負担をかけないような生活を心がける必要があります。また異変を感じたらすぐに検査を受けて、早期発見するようにしましょう。

高リン血症を放っておくとさらに症状を悪化させ、さまざまな病気や症状を併発します。さらに自分を苦しめないためにも高リン血症や腎不全などの疑いがあるときは早急に治療を始めるようにしましょう。


高リン血症の症状・悪化するとどうなる

高リン血症は初期症状として自覚できるものがないので、自分で異変を感じ取れずに発見が遅れてしまいます。

高リン血症の症状が悪化するとさまざまな異常が体に見られるようになり、その異常はどんどん重たいものへと変化していきます。高リン血症を放置することによって起こり得る症状を知っておくと、自分に危機感が持てます。

危機感を持って過ごすのと、何も知らずに過ごすのでは予防効果も変わってくるので、他人事と思わないようにしましょう!

目が充血し体にかゆみ

高リン血症の症状で軽いものでは目が充血し、体にかゆみが現れます。異所性石灰化の初期症状としてこれらが現れ始め、悪化していくと動脈硬化や心不全を引き起こします。

動脈硬化・心不全

また心筋梗塞や狭心症、不整脈、脳梗塞、脳出血などの心血管疾患のリスクも上がります。最悪の場合には命を落とすこともあるので、高リン血症に関わる症状が現れ始めたらすぐに医療機関を受診しましょう。

骨がもろくなり骨折の危険も

高リン血症を放っておくと二次性副甲状腺機能亢進症をも引き起こします。

二次性副甲状腺機能亢進症とは活性型ビタミンDの産生が低下することによって体内のカルシウムがまず不足します。カルシウムが不足すると副甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるようになり、骨からカルシウムを溶かし出そうとします。

つまり骨のカルシウムを溶かして体内のカルシウムを一定に保とうとするんですね。しかし骨から溶かし出されてしまうと骨がもろくなってしまうので、骨折をしやすくなってケガのリスクがあがります。

高リン血症は血清リンの値が高いだけと放っておくと、ケガの原因を作ったり健康を損ない命を危険に晒してしまいます。


高リン血症の予防方法・治療方法

知らない間に進行しているかもしれない高リン血症は普段の食事でリンを過剰に摂取しないように意識する必要があります。

リンが多く含まれている食品は控えるのは当然ですが、万が一高リン血症にかかっても慌てないために治療法についてもある程度知っておきましょう。リンの1日の摂取目安量を守って、健康に過ごせるようにしましょう!

摂取量の目安を知る

リンは多くの食品に含まれています。そのため好きなものを好きなだけ食べていると知らない間に高リン血症にかかっている恐れがあります。

まずは1日の摂取量を知って、それをオーバーしないようにコントロールしましょう。リンの1日の目安量は男性で1000㎎、女性で800㎎といわれています。

豆類以外の野菜にはリンがあまり含まれていないので、野菜中心の食事にしたり食品添加物が使用されていない食材を選ぶようにしましょう。

食事でリンを避ける

健康な人であれば通常の食事でリンが過剰になることは少ないといわれています。

しかし体調はちょっとしたストレスや寝不足などですぐに悪くなるものです。そのため健康であっても、普段からリンの摂取には気を配るようにしましょう。特に高リン食品といわれる乳製品は食べ過ぎないようにし、毎日の摂取は控えた方が良いです。

またリンが含まれているものを摂取するときは同時にカルシウムも摂取するようにしましょう。リンによって吸収が阻害されてしまうので、カルシウム不足に陥る恐れがあります。しかし牛乳は高リン食品になるので、違うものでカルシウムを摂取してくださいね!

病院の治療法

万が一高リン血症にかかってしまった場合にはどういった治療が必要になるのでしょうか?

病院での治療は主に食事療法でリンの摂取を制限された食事が出されます。次に薬物治療で、食事療法で改善が見られない場合にリンの吸収を阻害するリン吸着薬などの服用で治療を進めていきます。

主に食事療法で治していきますが、できるだけ病院での治療になる前に自分で改善するようにしましょう。


乳製品を控えるのが高リン血症の予防かも!

乳製品は高リン食品です。毎日牛乳を飲む、チーズを食べる、生クリームがついているお菓子を食べるなどは控えた方が安心です。

乳製品は他の高リン食品よりも身近なため、意識して見直さなければいけません。他にも豆類、薮ソバ、卵黄、ハム、ソーセージ、ベーコンなども高リン食品として挙げられます。

これらの食品は食べ過ぎ、摂りすぎに注意しながら、バランスの良い食事を心がけるようにしましょう。健康は食事や生活習慣から作られるものです。自分で自分を苦しめないように健康には気をつけてくださいね!

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