麹甘酒と酒粕甘酒の違いは?
甘酒は大きく分けると、米麹の甘酒と酒粕の甘酒の2種類があります。
米麹の甘酒は、麹と蒸したお米のみを発酵熟成させて、麹の消化酵素によってお米のデンプンがブドウ糖に分解されたものです。甘酒が「飲む点滴」といわれるのは、甘味の主成分がショ糖ではなく、ブドウ糖だからです。
米麹の甘酒の特徴
- 麹とお米のみで作るので割高
- お米のミネラル分がそのまま残っている
- 食物繊維が少ない
- アルコール分はゼロ
- 砂糖を使わなくてもお米と麹の自然の甘さがあり、糖類を加えないのでカロリーが低い
酒粕の甘酒のベースとなる酒粕とは、麹を発酵熟成させて日本酒などを精製したときに残る固形の副産物です。これに砂糖などで甘味をつけたものが酒粕の甘酒です。
酒粕の甘酒の特徴
- 安価である(砂糖もお米より安い)
- 米麹の甘酒よりもタンパク質・不溶性食物繊維・葉酸・ビタミンB群などが多く含まれているので栄養価が高い
- 日本酒精製のときにお米を絞るのでミネラル分が少ない
- 砂糖を加えるのでカロリーが高い(甘味の主成分がショ糖)
- アルコールが残っている
材料と飲める人が違う
価格だけで比べると酒粕の甘酒のほうが安価です。しかし砂糖を加えて甘味をつけるのでカロリーは米麹よりも高くなってしまいます。また、酒粕はアルコールを含んでいて、温めても完全にはなくなりません。(アルコールは酒粕の可食部100gあたり8.2g含まれています)
アルコールが苦手な方や小さな子ども、妊婦さんや車を運転する人、未成年が飲むのなら、米麹の甘酒を選ぶほうが安心です。
栄養価はどちらも高いので効果別に飲み分けるのがおすすめ
米麹の甘酒と酒粕の甘酒とでは栄養価が違います。酒粕の甘酒も米麹の甘酒も栄養成分はほぼ同じです。しかし、タンパク質・葉酸・ビタミンB群、食物繊維などがより多く含まれているのは酒粕のほうで、栄養価は高めといえます。
カロリーは酒粕と米麹では100mlあたりでは同じくらいなのですが、甘酒にするときに砂糖を加える分、酒粕の甘酒のほうが高カロリーになります。
米麹はノンアルコールで栄養剤の点滴に近い成分であり、酒粕にはないミネラル成分(マンガン・セレン・モリブデン)も持っています。
健康維持や健康増進などの目的ならば、お好みのほうの甘酒を飲みましょう。ダイエットや美容を目的にするならば、どちらかを選んだり、飲み分けたほうが効果に期待ができます。
麹甘酒と酒粕甘酒の効能の違いは?
米麹と酒粕、それぞれ原料の違いから効果にも違いが出てきます。
ダイエットを期待するならば、砂糖を使っていない米麹の甘酒がおすすめです。美容を目的とするなら、酒粕の甘酒を飲みましょう。
美肌効果をもたらす成分の多い酒粕甘酒
もろみを絞って残った固形物である酒粕は、圧縮機を使って絞ったものを「板かす」、袋に入れて重しで絞ったものを「ばらかす」といいます。「ばらかす」のほうがしっとりとしていて、アルコール分を多く含んでいます。
酒粕は美容効果を高める成分をたくさん含んでいます。
- トリアシルグリセロール:シミやそばかすの原因になるメラニン色素を抑制する
- ビタミンB群:お肌のターンオーバーを活性化、肌の美白
- タンパク質:お肌のもとになる
- スフィンゴ脂質:皮膚の角質層で細胞同士をつなげてお肌の潤いを保つ。
- セラミド:保湿効果
- 食物繊維:便秘解消、デトックスで肌荒れを防ぐ
- プロリン:コラーゲン成分
ダイエット効果をもたらす成分が多い麹甘酒
米麹の甘酒はダイエットに適しています。砂糖を使っていないのに甘いのは、ブドウ糖とオリゴ糖を含んでいるからです。このブドウ糖には、満腹感を得られ食べ過ぎを防ぐ効果があります。オリゴ糖には腸内環境を整える作用があるので便秘予防に効果的です。
またリパーゼ酵素が脂肪をエネルギーに変換するはたらきをしてダイエット効果を高めます。米麹の甘酒は「飲む点滴」と呼ばれるくらい栄養価が高いので、ダイエットで不足しがちな栄養を補ってくれます。
ダイエットに効果的な麹甘酒の飲み方
米麹の甘酒は、ほとんどがご飯やもち米が主原料なので、マグカップ1杯分でもかなりの満足感を得られます。
1食置き換えても栄養価は十分ありますし、少し小腹が空いたときのおやつ代わりにするのも効果的でしょう。ダイエットに効果的な甘酒の飲み方をご紹介します。
1食を甘酒に置き換える
甘酒ダイエットは、1日3食のうちのどれか1食を甘酒に置き換えるダイエット方法です。朝・昼・夜のどこで置き換えてもいいのですが、おすすめなのは朝食です。朝食に甘酒を飲むと基礎代謝が上がります。
また、甘酒には必須アミノ酸やビタミン、酵素などが豊富に含まれているのでエネルギーを効率よく使えます。甘酒の効果で日中、疲れにくく快適に過ごせるでしょう。朝食に、200mlの米麹でつくった甘酒のみをゆっくり噛みながら飲みます。他のものは食べません。
このとき、甘酒は温かい方が基礎代謝を高める効果があがるので、人肌程度に温めてください。沸騰させると酵素や微生物の効果が得られなくなってしまいますので、温め過ぎには注意しましょう。
食前・食後やおやつ代わりに飲む
1食を甘酒に置き換えるのが難しい方は、食前・食後・間食のかわりに少量を飲むという方法もあります。甘酒を食前に少量飲んでから通常の食事を食ると、甘酒の満腹感の効果で自然と食事の量を減らすことができます。
食後に少量の甘酒を飲む方法は、食後のデザート代わりになり満足感を得られます。さらに甘酒には消化吸収を助けるはたらきもあります。
おやつの代わりに飲む方法は、空腹を感じたときに少量を飲みます。食事と食事の間についお菓子を食べてしまいがちですが、甘酒を飲べば満足感を得られるので余分な間食をなくせます。
このように、甘酒ダイエットと言っても方法は数種類あるため、日々の体調などを考えながら長く続けられるダイエット方法を選ぶようにしましょう。
1日合計200mlは超えないように
1食を置き換える甘酒ダイエットのルールを守らずに、普通に食事を食べてさらに甘酒を飲んでいてはダイエット効果は期待できません。1食を置き換える場合はコップ1杯(200ml)を飲みます。まずは無理のないよう、朝食から始めてみるのがおすすめです。
食前や食後、おやつの代わりにのむ場合も、トータル摂取量は1日200ml以内にしましょう。
炊飯器などの家庭家電で簡単!麹甘酒の作り方
ホットでもアイスでもおいしい甘酒ですが、炊飯器などを使って家庭で簡単に手作りできます。
材料は米と麹と水
材料(できあがり分量 約1kg)
- 米麹 300g
- 米 1合
- 水 4合分(米1合に対して水は4合)
- 炊飯器と温度計
- 炊飯器に米を入れておかゆを炊きます。
- おかゆを混ぜて60℃くらいに冷まします。冷めたら米麹を入れて混ぜます
- 炊飯器のふたを開けて50~60℃くらいを保ち、ときどきかき混ぜる。
- 5時間程度で甘味がしっかりでてきたら完成です。
- つぶつぶが気になる場合はミキサーなどで滑らかにします。
- 冷蔵保存はそのままの状態で1週間ほどできます。煮沸消毒した容器で保存しましょう。1週間以上経過すると麹菌が発酵し続けるので酸味が出てきます。
- 冷蔵保存は1~3カ月程度できます。製氷器などに小分けして、解凍するときはゆっくり冷蔵庫でしましょう。冷凍やけすると味が落ちるので、そのようなときは料理に使いましょう。
温度管理はしっかりと
麹には酵素やビタミン類が含まれています。麹が発酵するのに適した温度は50~60℃で、それ以下でも以上でも発酵が進みません。また、麹に含まれる成分は熱に弱く、70℃以上で死滅してしまいます。特に加熱し過ぎや温め過ぎは注意しましょう。
火を入れる温度は60℃までと覚えておきましょう。
麹甘酒を普段のレシピにも活用
甘酒を美容やダイエットに取り入れたいけれどそのまま飲むのは苦手という方や、毎日飲むのは辛いという方は、料理やデザートなどに入れてアレンジした甘酒を食べてみてください。
また、料理用に使う甘酒は冷凍キューブにして保存しておくと数カ月保存できます。蓋付きの製氷器に甘酒を冷凍保存すると、使いたいとき簡単にひねって甘酒キューブが取り出せるのでとても便利です。
肉料理のたれや煮物に
甘酒を使ったおかずはヘルシーでとてもまろやかな味になります。
- 甘酒肉じゃが
肉じゃがを作るときの砂糖の代わりに甘酒を使います。コクと甘味がでます。甘酒は砂糖とは違い多糖類に分類されて太りにくので、安心して料理に使えます。 - 甘酒筑前煮
筑前煮を作るときの砂糖の代わりに甘酒を使います。コクと自然な甘みがでます。 - カレーの隠し味に
カレーの隠し味にリンゴやチョコレート、ハチミツなどを使うのは良く知られていますが、甘酒も隠し味に使えます。コクが出てまろやかになります。甘酒の中にある米粒もカレーに混ざるとほとんど違和感は感じないでしょう。
プリンや蒸しパンなどのデザートに
砂糖の代わりに甘酒を使えば、優しい甘さのデザートができます。
- 甘酒蒸しパン
蒸しパンを作る際、砂糖の代わりに甘酒を使います。砂糖よりも優しい味になります。 - 甘酒プリン
裏ごしした甘酒を使います。一見プリンに甘酒は合いそうにないと思われますが、甘酒プリンは意外と美味しいと評判です。 - 甘酒アイス
甘酒アイスの材料に裏ごしした甘酒を使います。甘酒だけでなくカルピスも加えて作ると爽やかな甘酒アイスになります。甘酒の甘味が足りない場合は、ハチミツやデーツ(ナツメヤシの果実)などで甘みを追加すると上品なアイスになります。添加物の無い高級アイスのおいしさは格別です。
飲む点滴と呼ばれる麹甘酒を日々の生活に
甘酒は栄養価がすぐれた食品です。ダイエットや美容に取り入れた場合、目に見える効果がすぐに出るわけではないので、自分の体調やリズムを考えて継続できる方法で行ってみましょう。
甘酒の健康・美容効果やダイエット効果は、持続すれば効果が出てくるという人も多いのです。特に食事制限でダイエットしようとしている人は、栄養面も考えて甘酒を取り入れてみてはいかかでしょうか。