チェック1・汗やのぼせ、ほてりは更年期障害の症状?
40代以降の女性に見られる更年期障害は、ホルモンバランスの乱れ・ストレス・不規則な生活などが原因で精神的・身体的に体の不調が出ます。ホルモンバランスの乱れと関係する症状に、汗やのぼせ、ほてりといった「ホットフラッシュ」があります。
更年期になると卵巣機能が衰えて、卵巣から排出されている女性ホルモンが減少します。
女性ホルモンのエストロゲンが減少すると、脳はエストロゲンの分泌を促すように卵胞刺激ホルモンに指示をします。
しかし更年期を迎えた卵巣では、卵胞刺激ホルモンに指示していてもエストロゲンを分泌できません。卵胞刺激ホルモンとエストロゲンのホルモンバランスが乱れることで体に様々な不調がでます。
ホルモンバランスが乱れる症状の1つにホットフラッシュという体のほてりや、スウェッティングという大量の汗といった症状がありますが、ホットフラッシュは真冬でも起こります。
突然顔が熱くなり大量の汗をかきます。
ホットフラッシュは一度経験をすると8割以上の女性が、その後1年間は続くので更年期障害の中でもつらい症状です。
汗やのぼせ、ほてりの原因
汗やのぼせ・ほてりなど「ホットフラッシュ」の症状が起こるのは、脳で卵胞刺激ホルモンをつかって女性ホルモンのエストロゲンを出すように指示しているのに、更年期でエストロゲンが充分に分泌できず脳の視床下部が慌てて自律神経が突然暴走してしまうことが原因です。
自律神経が暴走すると発汗コントロールができなくなり、大量の汗やのぼせといったホットフラッシュの症状を引き起こします。
対策・ホルモン補充療法
ホットフラッシュは婦人科で、ホルモン補充療法で軽減することができます。ホルモン補充療法は、更年期障害で減ってしまった女性ホルモンのエストロゲンの不足分を貼り薬・塗り薬で補充する方法です。
治療開始から1~2週間で効果があらわれるのでホットフラッシュには効果的な治療法です。
対策・漢方療法
漢方薬を使えばホットフラッシュを軽減することができます。ホットフラッシュに効果がある漢方薬は、「加味逍遥散」「桃核承気湯」「桂枝茯苓丸」「女神散」「温経湯」の5つです。
体力に自信がある人は、「桂枝茯苓丸」「桃核承気湯」「女神散」の3つを、体力に自信のない人は「加味逍遥散」「温経湯」が向いています。
「加味逍遥散(かみしょうようさん)」は、痩せ型体質の人向きです。ホットフラッシュを軽減し、イライラや不眠など精神症状も緩和します。頭痛・むくみ・冷え・めまいなどにも効果がある万能薬です。
「桃核承気湯(とうかくじょうきとう)」は、便秘ぎみの人におすすめです。ホットフラッシュへの効果以外にも、月経不調・肌荒れ効果も期待できます。
「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」は、冷え症や生理痛の人におすすめです。血行をよくして冷えを緩和します。
生理痛がひどい人は経血をコントロールしてくれるので服用すると痛みが引くという嬉しい効果もあります。
「女神散(にょしんさん)」は、加味逍遥散に似た効果があります。加味逍遥散は体力に自信のない人に向けで、女神散は体力に自信のある人向けなので自分の体力を考えて選択するといいでしょう。
特に、胃腸に働きかけるので胃腸が弱っている人は女神散がいいですね。
「温経湯(うんけいとう)」は、腰・下腹部の冷えを感じる人に効果があります。体を温め体内の体温調節をするのでホットフラッシュに効果的です。血行がよくなるので、血が全身にスムーズに巡り冷え症の改善にもつながります。
チェック2・肩こり、腰痛は更年期障害の症状?
年のせいだと思っていた肩こり・腰痛も、実は更年期障害の症状の場合があります。突然肩こり・腰痛を感じるようになった、以前から症状はあったが急に症状が悪化したなど、更年期は肩こり・腰痛が起こりやすく更年期を迎えた女性が実感する症状の中でも多いです。
肩こり、腰痛の原因
更年期を迎えると、女性ホルモンのエストロゲンが減少します。エストロゲンが減少するとホルモンバランスが乱れて、血液をコントロールしている交感神経に支障がでます。自律神経の交感神経が正常に働かなくなると、血液循環に影響が出て血液がスムーズに流れません。
血流が低下すると、全身の筋肉は酸素と栄養が血液から運ばれてこないので不足します。加齢で衰え気味の筋肉に、血液が送られてこないことで筋肉は硬くなり、肩こり・腰痛が起こります。
肩と腰の周りには大きな筋肉が集中しているので、肩こりや腰痛が起こりやすいです。女性ホルモンのエストロゲンが原因で起こる肩こり・腰痛か見分けるポイントは、ホットフラッシュや不眠などがあるかどうかです。
ホットフラッシュも不眠症状もなくて肩こり・腰痛だけの場合は、眼精疲労や単なる加齢、肩や腰に負荷がかかったなど他の原因も考えられます。
対策・ストレッチ
ストレッチなどの軽い運動は筋肉をほぐし、血行促進効果があるので肩こり・腰痛を緩和します。
普段オフィスワークでずっと椅子に座りっぱなしの人は、長時間同じ姿勢でいることで筋肉が固まり血行が悪くなるので、立ち上がって休憩をとるようにして肩回しや腰捻りをするだけでも楽になります。
ラジオ体操は肩や腰の筋肉をほぐすストレッチが効率的にとれるので、おすすめのストレッチ法です。
対策・体を温める
肩こり・腰痛は血行がスムーズに流れていないことで起こるので、体を温めて血行ををよくすれば症状が改善されます。体を温めるのに一番良いのがゆっくりと入浴することです。
毎日シャワーで済ませている人も多いと思いますが、シャワーでは体の芯まで温まらないのでお風呂に浸かって体の深部温度を上げるようにしましょう。また、血行がよくなると凝り固まっていた筋肉もほぐれるので効果的です。
入浴以外にも、仕事中に携帯カイロで温めたり、家では蒸しタオルを凝った部分に置いて温めたりするのも有効な方法です。
チェック3・めまいや貧血は更年期障害の症状?
更年期を迎えた人の中には、貧血やめまいがするようになったという人もいます。貧血でめまいが起きるのは、血中のヘモグロビン不足が原因です。ヘモグロビン不足は鉄分が不足することによって起こります。
鉄分は体の中で酸素と結びついて血中を巡り、ヘモグロビンが酸素を全身に運びます。鉄分が不足すると、ヘモグロビンが酸素や栄養を運ぶことができなくなるので貧血によるめまいが起こります。
貧血を伴わないめまいの場合は、更年期障害でホルモンバランスが乱れることが原因です。ホルモンバランスが乱れると自律神経も乱れて、加齢と合わさって感覚器官の機能が低下します。
歩いていて体が宙に浮くように感じる「浮動性めまい」や、周囲がぐるぐる回る「回転性めまい」、動いた時に血の気が引くような感覚がして目の前が真っ暗になってしまう「立ちくらみのめまい」などいくつか種類があります。
めまいや貧血の原因
貧血はヘモグロビンが減少することが原因です。鉄分不足になると体の中では、貧血にならないように不足分を補おうとします。
その時使われるのが、肝臓・脾臓に蓄えられている血清フェリチンです。血清フェリチンが不足分を補えれば良いですが、足りなくなってしまうとヘモグロビンが減少して貧血を起こします。
ヘモグロビンは酸素や栄養を運ぶ役割があるので、不足すると更年期障害の症状の貧血によるめまいを起こします。めまいは更年期になって、女性ホルモンの分泌が減少することでもおこります。
脳の視床下部では、女性ホルモンが減少した時は分泌を促し、多い時には抑えるような働きをしています。更年期の女性は閉経を迎えようとしていて女性ホルモンであるエストロゲンが減少したり、月経周期が乱れます。
結果脳の視床下部が混乱してホルモンバランスが乱れ、視床下部がコントロールしている自律神経のバランスも崩れます。自律神経が乱れると、血管運動系機能障害になり血圧が不安定になり、突然のめまいが起こります。
対策・睡眠、安静
貧血やめまいが起きたら横になって安静にしましょう。無理をして動こうとしないで、しばらくしゃがんだり、横になれる場所なら横になって休みます。
めまいがあるのに無理に動こうとすると、感覚器官が鈍くなっているので転倒してしまうこともあるのでとても危険です。動くことによってさらにめまいが誘発されるので、じっと安静にしている必要があります。
ストレスによってめまいが起こることもあるので、十分な睡眠時間を確保することも大切です。睡眠することでストレス解消の効果があり、めまいを起こしにくくします。
対策・食生活の改善
貧血にならない為には鉄分を意識した食事をすることが大切です。めまいは血圧が不安定な状態で起きるので、血流をスムーズに流す為に血液サラサラ効果のある食事がいいです。
40代以降の更年期を迎えた女性が、1日に摂るべき鉄分量は10㎎~15㎎です。鉄分は、レバー・木綿豆腐・ひじき・小松菜・納豆などに多く含まれています。ビタミンCを一緒にとることで鉄分が吸収されやすくなるので一緒に取り入れてください。
めまいに効く血液サラサラ効果があって自律神経のバランスを調整するビタミンEが含まれる、大豆製品・かぼちゃなども合わせて食べると効果的です。
バランスの悪い食事を止めて食生活を改善することが、辛い貧血・めまいの改善に役立ちます。毎日の食事の中で栄養が取れない日は、サプリメントを使うなどして補うようにしましょう。
チェック4・むくみは更年期障害の症状?
女性はむくみに悩む人が多いのですが、更年期になるとさらにむくみの症状が出ます。
むくみは浮腫と言って、皮膚下組織に水が溜まった状態のことです。長時間立ち仕事をしていると足がパンパンに腫れたような状態になりますが、その状態をむくみといいます。
通常は、前日に飲み過ぎた・水分の摂りすぎ・塩分の摂りすぎなどで原因がわかるむくみが多いですが、更年期障害のむくみは心当たりがなくても起こります。
むくみの原因
血流が酸素と栄養素を運んで、リンパ管から老廃物を排出します。この時末端細胞にある老廃物や水分が、うまく排出されないことでむくみが起こります。
更年期障害の症状で起こるむくみの原因は、女性ホルモンであるエストロゲンが減少することと、水分が不足することにより、老廃物や水分が排出されずにむくんでしまいます。
更年期の女性はエストロゲンが急激に減って、その後閉経を迎えます。エストロゲンが減少してしまうと体にある黄体ホルモンが増えて、むくみを引き起こします。
月経前にむくんで指輪が入らなかったり、靴がきつく感じたりといったことがあるかと思いますが、黄体ホルモンが増加したことでむくみが起こった例です。
黄体ホルモンが増加することで起こるむくみは、更年期以前も日常的にあります。更年期になるとエストロゲンが減少して黄体ホルモンがさらに増えて、むくみを感じるようになります。
水分不足も更年期のむくみの原因です。水分が不足すると体は水分を外に逃がさないように、水分と一緒に老廃物も必要以上に溜め込もうとしむくみを引き起こします。
体がむくんで腫れるのは水分代謝がうまくいかないことが原因ですが、余分な水分や老廃物が外に排出できないのはリンパや血液循環を調整する役割のある自律神経と筋肉が深く関わっています。
自律神経は血流やリンパの流れを無意識にコントロールしていて、更年期で女性ホルモンが減少すると自律神経も乱れます。自律神経が乱れることで末端の手足に水分と老廃物が溜まって、代謝されずにむくみやすくなります。
加齢で筋力が低下すると、筋肉の収縮運動で血液やリンパが流れていたものが流れにくくなり血流を作り出す力が弱くなってむくみやすさの原因になります。
対策・体を温める
体を温めると血行がよくなります。ゆるめのお風呂に浸かって血行を促進しましょう。体を温める効果のある根菜類・香味野菜を積極的に摂り入れるといいです。
れんこん・にんじん・しょうが・ネギなどがあります。飲み物をお茶ではなくて葛湯(くずゆ)に変えると体を温めるのに効果的です。
対策・ストレッチ
むくみは老廃物と水分が排出されずに溜まっているので、動くことが大事です。激しい運動をしなくてもウォーキングやストレッチなど軽い強度の運動で十分です。
ストレッチをすることで全身の血行がよくなり血流が流れやすくなります。筋肉もほぐれるのでむくみ予防にもなります。普段から意識して歩くようにして、末端のつま先から太ももの方向へリンパマッサージすると、リンパと血液が心臓の方へ流れやすくなります。
対策・体を締め付け過ぎない
体を締め付けるような服装や下着をつけていると、血流の流れが止められて血行が悪くなってしまうので、むくみが起こりやすくなります。圧迫しすぎるような服装は避けてむくみが気になる時はゆったりとした服装や下着で過ごすようにするといいでしょう。
チェック5・生理不順は更年期障害の症状?
更年期障害の症状に生理不順があります。更年期と生理は深い関わりがあって、更年期にほとんどの女性が生理不順の症状があります。更年期は閉経を迎えるので生理周期が不規則になったり、出血量が変化したりして精神的に不安に思う人も多いです。
生理不順には周期に変化の起こる「周期異常」と、経血の量が変化する「月経血量の異常」の2種類があります。
生理不順の種類
生理不順の種類には周期異常、月経血量の異常があります。周期異常とは、短い周期(24日間以下)で月経が起こる「頻発月経」と、長い周期(39日間以上)で月経が起こる「稀発月経」があります。
月経血量の異常とは、出血量が多い「過多月経」と、出血量が減る「過少月経」で、生理の度に血量が増えたり減ったりする人もいます。
閉経を迎える女性の卵巣では徐々に排卵が起こらなくなるので、月経ではない不規則出血が起こり、月経前や月経後にも出血することもあります。
不規則出血が起こる場合は、子宮がんや子宮筋腫などの病気が隠れていることもあるので、出血が続くようなら婦人科で見てもらいましょう。
生理不順の原因
更年期障害で生理不順が起こる原因は、閉経を迎えようとしている卵巣の卵巣機能が低下し、女性ホルモンのエストロゲンの分泌が減少することです。通常だと25~38日間の月経周期や血の量が変化します。
更年期でエストロゲンが減少すると、生理周期をコントロールしているエストロゲンとプロゲステロンと呼ばれる2つの女性ホルモンのバランスが乱れて、生理不順が起こります。
更年期の生理不順は、閉経を迎える過程で起こるもので生理周期が短くなったり長くなったり不規則な期間が続いて、その後1年間生理がないと閉経したことになります。この閉経を迎えるまでの間に生理不順が起こります。
対策・規則正しい生活をする
運動・食事・睡眠に気をつけて規則正しい生活をすることが生理不順を緩和する上で役立ちます。運動をしないと基礎代謝が下がり、ホルモンバランスや自律神経の働きが乱れます。
更年期になると筋力も衰えるので、普段から運動習慣を持っていると女性ホルモンの乱れを抑えるので生理不順も起こりにくくなります。食事は栄養バランスよく食べる必要があります。
女性ホルモンであるエストロゲンと似た働きをする食材は、大豆に含まれているイソフラボンで、大豆製品を摂取することで減ってしまったエストロゲンを補うものとして効果的です。豆乳・納豆・豆腐・きなこなどを積極的に毎日の食事に取り入れるといいです。
睡眠も生理不順に効果があります。睡眠不足が続くとストレスが解消できずに溜まっていき血流の流れも悪くなります。
エストロゲンで動く副交感神経は休息中に優位に立つ自律神経なので、睡眠をしっかりとることでエストロゲンの量が減少しても副交感神経が通常通り働くことができるようになります。
規則正しい生活をしてきちんと睡眠をとれば、自律神経の機能も通常通り働くようになり、エストロゲンの減少による生理不順の症状を緩和します。
対策・大豆イソフラボンを摂取
更年期での生理不順は、女性ホルモンであるエストロゲンの減少が原因です。女性ホルモンと似た働きをする大豆イソフラボンを摂ることで、更年期からくる生理不順の改善が期待できます。
大豆製品である豆腐・納豆・きなこ・豆乳などを積極的に食べるようにしましょう。イソフラボンのサプリメントを摂取して補うことも有効です。
チェック6・うつは更年期障害の症状?
更年期障害の症状の1つに「うつ」があります。更年期になると不安感・イライラ・憂鬱など精神的に不安定になりやすいです。憂鬱は閉経した女性で約40%が感じている症状です。精神に現れる症状はうつ病を発症する可能性もあります。
憂鬱・不安感・イライラ・不眠という精神症状が悪化してうつ病になると言われていて、強い憂鬱感を感じる人は更年期うつ病と診断されることが多いです。
更年期以前に、月経前症候群であるPMS・月経前不快気分障害であるPMDD・産後うつ、などを経験した女性の場合、更年期になってうつになりやすいので注意が必要です。また更年期になってから更年期障害の何かしらの症状を発症した人もうつになりやすいです。
うつの原因
何らかの更年期の症状がある女性は、症状がない更年期の女性に比べてうつになる確率が2倍です。更年期には女性ホルモンのエストロゲンが減少し、心と体に様々な不調を引き起こします。
精神的にも不安定になりやすかったり、ホルモンバランスの乱れでストレス耐性が弱まって感情が制御できなくなったりするので、うつを併発しやすく「更年期鬱」とよばれるうつ病が起こります。
更年期はストレス耐性が弱まっているのに、家庭問題や仕事でストレス要因が増える時期でもありうつ病の原因にもなります。
更年期の女性は思春期の頃と同じで、精神的に脆く不安定になりやすいと言われています。涙もろい・気分が落ち込む・落ち込みから立ち直れない、など精神的な不安がうつ病の引き金になります。
うつ病になりやすいのは、真面目で一生懸命生きてきた人がうまくストレスを解消できずに溜め込み、それが精神的に不安定な更年期の症状と重なって誰にも言えず塞ぎ込んでしまい、気づいたらうつ病になっていたというケースが多いです。
対策・ストレッチ
ストレッチやマッサージをすると心身共にリラックスできてストレス解消効果があるので、更年期うつの原因であるストレスを軽減しうつ症状を緩和します。
悩み事があったり落ち込んだりすると前傾姿勢になります。この時後ろ肩の肩甲挙筋を使うので、筋肉が凝り固まっています。
肩甲挙筋を伸ばすストレッチを行うと気分が晴れてモヤモヤがスッキリするので、ストレッチの際に両肩を上げるような動きを取り入れるとうつに効果的です。
対策・サプリメント
うつに効果的なサプリメントには、プラセンタを使用したサプリが有効です。プラセンタを使うと、うつで落ち込んだ気分が軽く元気になります。うつになる前の落ち込みや不安感が出た時に飲み始めれば、症状が悪化してうつになるのを防ぐことができます。
対策・漢方薬
うつや不安感・不眠・イライラなどの症状は気滞型と言って気が滞ることで起こります。気滞型の漢方薬を飲むことで、気の巡りを循環させていい気を呼び込み、精神不安などの悪い気を払ってくれます。
うつに効果のある漢方薬は半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)・香蘇散(こうそさん)・柴朴湯(さいぼくとう)などです。
半夏厚朴湯は真面目で神経質な人向きです。原因のわからない不安感やそれによる不眠症、動機、胸の圧迫感などを感じる人に、不安感を沈めうつを抑制してくれます。
香蘇散は内気な性格で、ストレスを溜め込んでしまい発散できずにうつになっている人や、それと共に耳が塞がるような感覚を持つ人に効果があります。
柴朴湯は半夏厚朴湯の症状に、さらに口が苦い・食欲がない・胸から脇が張るといった不安からくる神経痛にも効果があります。
対策・カウンセリング
普通うつ病は心療内科でカウンセリングを行いますが、更年期うつの場合は女性ホルモンの減少も関係するので更年期外来や婦人科でカウンセリングをしてもらうことをおすすめします。
更年期うつ病は、原因のわからない不安感や更年期障害での体・心の変化、仕事や家庭でのストレスなどが重なっておきます。
更年期うつの症状が軽い間は、本人は頑張って明るく振舞っているので周りはうつに気づかないことも多く、本人だけ心の中でストレスをどんどん溜め込んでしまい症状が悪化します。
カウンセリングに行くことで、話を聞いてもらえるだけでも気分がすっきりするのでカウンセリング療法も有効です。
チェック7・疲労は更年期障害の症状?
更年期障害での疲労感は、女性の約7割でみられる症状です。たくさん運動したり頭を使ったりすれば誰でも疲労感は感じますが、通常の疲労であればゆっくり休んだり睡眠をとると改善されます。
更年期の疲労は休息や睡眠をとってもなかなか解消できずに長引くのが特徴で、たくさん寝たのに疲れがとれなかったり、身体が重く感じたりします。
更年期の疲労感はなかなか取れないので、精神的にも負担がかかり日常生活に支障が出ます。更年期障害の疲労は更年期の女性ホルモンが大きく関係しています。
疲労の原因
更年期になって女性ホルモンであるエストロゲンが減少すると、脳の視床下部が混乱してホルモンバランスが乱れます。
脳の視床下部は自律神経・免疫系・分泌系など体内のコントロールをしている器官なので、正常に戻そうと脳も体も無理をして働くので疲労感を感じるようになります。
加齢で筋肉量も減少します。筋肉量が減少すると代謝が下がるのでエネルギーを生み出す力も弱まり、体はさらに無理をするので負担がかかり疲労感を感じます。
対策・食生活
更年期の疲労感を解消するために、食事を見直すことはとても有効です。疲労回復には、ビタミンB・C・Eを積極的にとるようにしましょう。これらのビタミンは玄米・うなぎ・豚肉・レバー・果物・緑黄色野菜・ジャガイモ・ナッツ・アボカドなどに含まれています。
疲労感を感じるのにはエストロゲン不足が原因なので、エストロゲンに似た働きをしてくれるイソフラボンを摂るといいです。大豆製品に含まれていますので、豆腐・豆乳・納豆なども食べるようにしましょう。
対策・ストレッチ
軽いストレッチで、筋肉の緊張がほぐれて血行がよくなります。疲れやすいので体を動かさない方がいいと思っている方もいるでしょうが、体を動かさないと余計に疲労感を感じます。
強度の高い運動は疲労感を感じるので、軽いストレッチが疲労感を解消するにはちょうど良いです。ストレッチを日課にして疲労感をさらに溜めないようにしましょう。
チェック8・頭痛は更年期障害の症状?
更年期の頭痛は約6~7割もの人が感じています。頭痛にはいろいろな種類がありますが、更年期に起こる頭痛で多いのは、偏頭痛・緊張型頭痛です。偏頭痛は、脳の血管が拡張して頭の片方がズキズキ痛みます。ひどい症状の人は嘔吐・吐き気も起こります。
緊張型頭痛はストレス・肩こり・目が疲れるなどが原因で、きつい帽子を被った時のように頭を締め付けられるような痛みを感じます。
頭痛の原因
更年期障害で頭痛が起こるのは、女性ホルモンであるエストロゲンが減少することが関係しています。エストロゲンが減少するとホルモンバランスが乱れてそのことで自律神経系も乱れます。
自律神経は全身の血液循環をコントロールしているので、自律神経が乱れると脳へ血液の供給が不安定になってしまい頭痛を引き起こします。
対策・体を温める
体を温めることで血行が促進します。自律神経が乱れて血液がスムーズに流れなくなってしまい頭痛が起こるので、血行をよくして血液が流れやすい環境を作ってあげることが大切です。
冷え性の人は特に血行が悪くなりがちなので、体が冷えるような行動は避け、カイロやカーディガンを持ち歩いて冷えを感じた時にはすぐに対処できるようにして体を温めてください。
湯船に浸からず毎日シャワーのみの人もいるでしょうが、シャワーでは体の芯まで温めることはできません。お風呂にゆっくり入って体を温めれば血行の流れもよくなって頭痛を軽減できます。
対策・ストレッチ
ストレッチも血行を促進する効果と、その他に筋肉をほぐす効果があります。更年期障害での頭痛に多い、緊張型頭痛はホルモンバランスが乱れて血流がスムーズに流れなくなり、肩こりなど筋肉が固まって緊張するので起こります。
筋肉のコリをほぐしてあげれば頭痛対策になります。ストレッチで体を動かすことで、筋肉が解れてさらに血行もよくなるので頭痛に効果があります。普段から筋肉や目を酷使せず、肩まわしやぼーっと遠くを見るなどして頭痛を抑制しましょう。