納豆に含まれるビタミンKの働きとは?ワーファリンとの相互作用も解説! |

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納豆に含まれるビタミンKの働きとは?ワーファリンとの相互作用も解説!

納豆にはビタミンK(メナキノン)が豊富

ネバネバの健康食品として人気のある納豆は、女性に嬉しい大豆イソフラボンが豊富ですよね。

しかし納豆は大豆イソフラボンだけでなく、実はビタミンKが豊富なんですよ。ビタミンKは主に2種類あり、野菜や海藻に含まれているビタミンK1と微生物が生産するビタミンK2に分かれます。

ビタミンK1は一種類だけですが、ビタミンK2には側鎖の長さが異なる種類が存在します。側鎖の連鎖はメナキノンと呼ばれていて、納豆に含まれているビタミンK2は「メナキノン―7(MK-7)」です。

納豆は健康食品として高い効果があると注目されていますが、それは大豆イソフラボンによる効果だけでなく、世界中で最も多くのビタミンK2が含まれている食品だからです。

ビタミンKはケガをしたときに血を固まらせ、止血させる働きを持つビタミンです。ケガをしたときに血が流れっぱなしにならないように徐々に固まるのは、ビタミンKが作用して血を固まらせ、血のバランスを保つからです。

納豆に含まれているビタミンKの働きを知れば、より効率的に取り入れることができます。


納豆のビタミンKと血液凝固の関係

ビタミンKは血液を固まらせる(凝固)因子を持っていますが、ビタミンKを多く摂ってしまうと血が固まり過ぎる心配が出てきますよね。

しかしビタミンKは血が固まり過ぎないように、血液凝固を抑制する因子を活性化させることもできます。つまり固まり過ぎを防ぎつつも、ケガが悪化しないように止血する機能もきちんと持っているんですね。

ですがこれはビタミンKが十分にある場合だけです。ビタミンKが不足すると、正常な血液凝固ができずに血が止まらない・傷が悪化するなどのトラブルが発生します。またビタミンKの働きは血液凝固・凝固抑制だけではなく、骨の健康や動脈硬化予防効果もあるビタミンです。

骨も丈夫にしてくれる

ある納豆のCMで、納豆は骨を元気にするという広告があります。これは納豆に含まれているビタミンK2の働きによるもので、骨を形成するタンパク質である「オステオカルシン」の活性化に関与しているからです。

骨の健康というと、ついカルシウムが頭に浮かびますが、実はカルシウムだけを摂取していても骨を丈夫にすることができません。骨にカルシウムを沈着させるために必要なのが「オステオカルシン」というタンパク質です。

そしてこのオステオカルシンの働きを活性化させるのがビタミンK2で、オステオカルシンが活性化するとカルシウムが沈着しやすくなり、丈夫な骨が作られるというわけです。納豆を多く食べる地域の人は骨が強いといわれるほど、納豆は骨を丈夫にしてくれるのです。

動脈硬化の原因も防ぐ

納豆に含まれているビタミンKは血液凝固・抑制、骨を丈夫にする効果に加えて、動脈硬化の原因を防ぐこともできます。動脈硬化はコレステロールなどが動脈に溜まってしまうことで動脈が硬くなり、血液が滞る病気です。

動脈硬化の原因はさまざまですが、その一つに「カルシウム不足」があります。カルシウムが不足すると骨のカルシウムを溶かして血液中のカルシウム濃度を一定に保とうとします。しかしこれによって余ってしまったカルシウムが動脈へ付着し、蓄積されます。

これを阻害するのがたんぱく質の一種である「マトリックスGlaタンパク」です。ビタミンKはこの「マトリックスGlaタンパク」を活性化させる働きを持っています。そのため動脈硬化やそれに伴う心臓病の予防にもつながるのです。


納豆のビタミンKの含有量は?

納豆は日本食!と思われがちですが、実は西日本と東日本では納豆を食べる頻度が異なります。

納豆を多く食べる習慣がある東日本に対し、西日本は納豆を食べる習慣があまりないといわれています。そのため地域別にみると西日本の方がビタミンK不足になりやすいというのが通説です。

しかし東日本であっても、健康を意識していないと納豆ってあまり食べませんよね。それではビタミンK不足に陥ってしまいます。西日本であろうと東日本であろうと意識して納豆を食べ、ビタミンKを摂取するようにしましょう!

ビタミンKの一日の摂取量は150μg

とはいっても、実は1日3食しっかりと食べる通常の食生活を送っていればビタミンKが不足することはありません。ビタミンKの一日の必要摂取量は150μgと定められているので、普通に暮らしていれば不足することはまずないでしょう。

しかし近年では偏った食生活や極端なダイエットをしている人も多いため、ビタミンKが不足している人も当然います。また納豆を食べる習慣があまりない西日本では、他にビタミンKを含む食品を意識して摂っていなければ不足してしまいます。

そのため偏った食事をしているという自覚があるなら、今すぐ食生活を見直してみましょう。

納豆1パックで300μg

では納豆にはどのくらいのビタミンKが含まれているか?と気になりますよね。実は1パックで「300μg」も含まれているんです!つまり一日の必要摂取量の2倍も含んでいます。しかしビタミンKは多く摂ったからといって害や副作用があるわけではありません。

そのためビタミンKはほかのビタミンと比べて安全というイメージが強く、上限も定められていません。ビタミンK2は微生物によって作られるので、納豆など菌を持つ食品は補給源として最適です。

ビタミンK不足を感じているなら、一日1パックでも納豆を食事にプラスしてみましょう。


母乳のビタミンK不足は納豆で改善?

母乳は赤ちゃんにとって一番良い食事だ、ともいわれていますが、そんな母乳にも不足している栄養素があります。それがビタミンKです。

母乳にもビタミンKは含まれているものの、その含有量は少ないといわれています。新生児は腸内細菌が少なく、ビタミンKも合成しにくいので他から補ってあげる必要があります。

ビタミンKが不足することで、数千人に1人の割合で消化管出血や頭蓋内出血を起こすことがあります。ママが納豆を食べてビタミンKを補っていても、母乳に変換される量には限りがあるため、母乳育児ではビタミンKが不足しがちです。

そのため完全母乳育児を考えているなら、赤ちゃんのビタミンK不足についても知っておきましょう。

ビタミンK製剤で予防

新生児のビタミンK不足はビタミンK製剤で予防することができます。現在は産婦人科や小児科などで、出生時・生後一週間・生後一カ月に「K2(ケイツー)シロップ」のビタミンK製剤を母乳栄養児に与えています。

そのため多くの新生児はビタミンK不足を回避することができますが、稀に先天性胆道閉鎖症(たんどうへいさしょう)を持つ赤ちゃんや、長期に渡り抗生剤を投与している場合にはビタミンK不足を引き起こします。

新生児のビタミンK不足は「乳児ビタミンK欠乏性出血症」と呼ばれています。

生後半月ほどから青あざや吐血がみられる、突然意識が無くなったりけいれん、不機嫌が続くなどの症状が起こった場合は乳児ビタミンK欠乏性出血症を引き起こしている可能性があるのでよく注意しましょう。

粉ミルクにはビタミンKが含まれている

ビタミンKの含有量が足りないからといっても、母乳育児が悪いわけではありません。

最近の粉ミルクは母乳に近いように作られていますが、やはり母乳を超えたとはいえません。そのため母乳育児のメリットを踏まえ、不足している部分はビタミンKを含む粉ミルクに頼るようにしましょう。

完全母乳育児で育てるという意志は素晴らしいものですが、あまり頑張ってしまうとママも疲れてしまいます。粉ミルクに頼り切るわけではなく、不足しがちなビタミンKを補うためと、柔軟に対応することをおすすめします。


納豆のビタミンKは血栓症に注意!ワーファリンの作用

ワーファリン(ワルファリン)とは血栓症の治療薬で、血液が固まるのを防ぐ作用がある薬です。

血液が固まるのを防ぐわけですから、当然血液凝固作用があるビタミンKとの相性が悪いのです。こうした薬を使用している人はビタミンKが豊富に含まれる食品の摂取を控えましょう。

ワーファリンの作用が弱くなって危険!

血栓症とは血管の中に血の塊ができてしまい、血管内を塞いでしまう病気のことです。この塊が心臓に入ってしまえば心筋梗塞、脳に入ると脳梗塞など命に関わる病気を引き起こす恐ろしい病気です。

ワーファリン(ワルファリン)はこの塊ができないようにと服用する薬です。しかしこの薬を服用しているにも関わらずビタミンKを含む食品を多く摂取してしまうと、ビタミンKがワーファリンに作用し、ワーファリンの効果を弱めてしまいます

それにより血液が固まりやすくなり、血栓ができやすくなってしまいます。そうなれば薬を服用している意味が無くなってしまうだけでなく、自分の命を危険に晒すことになるので、ワーファリンを服用中はビタミンKを含む食品を取らないように注意しなければいけません。

納豆菌は腸の中でビタミンKを作ってしまう

ビタミンK2は微生物が作り出す成分です。そのため腸内に納豆菌が入ると、人の体内で腸内細菌によってビタミンKが生産されます。そのためちょっとくらいなら大丈夫と思っても、腸内細菌によって食べたあともビタミンKが生産されてしまうのです。

納豆菌を含むのは納豆だけなので、他の大豆製品ではビタミンKは生産されません。血栓症治療をしている人は特にビタミンKとの相性が悪いことを頭にいれ、納豆はもちろんビタミンKを含む発酵食品やチーズなども食べる量に気をつけるようにしましょう。

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