禁煙が原因で頭痛?離脱症状は解消できる
自分や家族の健康のために禁煙をする人、節約のために禁煙をする人、美容のために禁煙をする人、など禁煙を始めるきっかけは様々です。禁煙によって体調がよくなるはずですが、禁煙を始めたら体に不調が出たという人も少なくありません。
今までタバコを吸っていたのに急に禁煙することは、自分で思っている以上にストレスが溜まります。そんなストレス状態の体では頭痛やめまい、眠気、などの離脱症状が起こってしまうのです。このストレスが体の不調の大きな原因なのですが、改善する方法もあります。
そこでまずは、禁煙生活の中で体に起こる様々な禁断(離脱)症状のうち、頭痛についてとりあげ、なぜ頭痛が起こるのか、禁煙のストレスが原因の頭痛の特徴、改善方法などについて学習しましょう。
禁煙で起こる禁断症状とは
禁煙で起こる禁断(離脱)症状には、頭痛、眠気、イライラ、だるさ、集中力がなくなる、煙草を欲する、便秘、などいろいろなものがあります。
その中でも頭痛は多くの人が感じる禁断症状の一つです。たばこを吸わないことは脳にもいいので、禁煙によって頭痛の症状が起こるのはイメージしにくいですが、一体なぜ頭痛になってしまうのでしょうか。
それは、禁煙をすることで脳がストレスを感じて緊張状態になることと「ニコチン」の2つが大きく関係しています。
まず、脳の緊張についてですが、煙草を吸う生活を長く続けていて急に煙草をやめると、脳が煙草が入ってこない状況をパニックに感じ、それがストレスになります。煙草が脳に入ってこない禁煙状態の脳では首や肩などの筋が緊張することによって頭痛が起こってしまいます。
緊張すると肩に力が入ることがありますが、禁煙による緊張もそれと似た症状です。
そしてもう一つの原因は、煙草の「ニコチン」によるものです。煙草には「ニコチン」と呼ばれる有害物質が含まれています。このニコチンは煙草の煙に含まれていて、煙草を吸うことで、肺〜血液〜脳まで届きます。
煙草を毎日吸うようになると「ニコチン依存症」になり、体がニコチンまみれになります。ニコチンには、脳でドーパミンと呼ばれる快感物質を作るので、それがやみつきになり煙草がやめられなくなるのです。
そんな時に急に禁煙をするとニコチンが急に入ってこなくなって禁断(離脱)症状があらわれます。ニコチンによる神経伝達物質ドーパミンを失った脳では、禁断症状が頭痛となってあらわれてしまいます。
短期間で消滅する
禁煙による頭痛の症状は、禁煙開始から2~3日がピークなので、短期間で消滅します。頭に強い痛みを感じても、ニコチンの禁断症状が消えてくるので3日を過ぎればだんだん痛みを感じなくなっていきます。
個人差はあるので、人によっては1〜2週間、1ヶ月以上頭痛に悩まされる場合もありますが、多くの場合は3日前後で強い痛みからは解放されます。こんな痛みがずっと続くくらいなら煙草を吸った方がいい!と、禁煙を諦めないでください。すぐ終わると思って我慢しましょう。
禁煙すると頭痛が治る人もいる
禁煙による禁断(離脱)症状として頭痛が起こる人もいれば、禁煙によって煙草を吸っていた時に悩まされていた偏頭痛が治ったという人もいます。
偏頭痛の原因は、血管が拡張することです。煙草に含まれるニコチンは血管収縮作用があるので、偏頭痛とは無縁なのではと疑問に感じるかもしれませんね。
ですが、煙草によって血管が収縮しすぎてしまうと血液の流れが滞るようになり、それを防ごうと一気に血管が伸びて拡張し、頭にある細くなっていた血管が急に伸びることで偏頭痛が起こるのです。
また、煙草を吸うことで高血圧(血液の圧力が高くなる)の症状が出ます。煙草を吸いすぎて拡張してしまった血管は朝起きた時の頭痛や、寝ていて急に頭に痛みを感じる、などの頭痛を引き起こします。
偏頭痛に悩んでいる人は、禁煙をすることで血管の収縮が正常に戻り、頭痛が治る場合もあるので、頭痛が起こるか治るかはその人それぞれによって違ってきます。
水分補給で防ぐ
禁煙中のつらい頭痛は、水分補給で防ぎましょう。毎日約2リットルの水を飲むことでニコチンによる禁断(離脱)症状の緩和ができます。飲むタイミングとしては、喉が渇いた時や煙草を吸いたいと感じた時、頭痛が起きた時、などにこまめに飲むようにしましょう。
水を飲むことで血中の血圧上昇を緩和することができるので、頭痛予防や緩和に役立ちます。普通の水でもいいのですが、冷たい水よりは暖かいお茶、水、の方が効果があるのでおすすめです。
ストレッチなど体を動かす
禁煙のストレスによる頭痛は、肩や首などの筋が緊張することで起こるので、解消するには緊張をほぐしてリラックスすることがポイントです。
ストレッチなどで体を動かすことで、筋肉がほぐれ緊張状態が解消し血流の流れもスムーズになるので、頭痛の改善が見込めます。首や肩を回したりするだけの簡単なストレッチでも効果があるので、仕事の合間や休憩時などにこまめにストレッチをするといいでしょう。
禁煙時は頭痛だけじゃない!眠気の原因
禁煙による禁断(離脱)症状として頭痛について学習しましたが、頭痛と同じように多い症状に「眠気」があります。ここからは、煙草をやめると起こる眠気の原因と改善方法についてみていきましょう。
禁煙時に眠気が起こるのは、ニコチンの影響でドーパミンやノルアドレナリンなどの脳を覚醒させる物質が出なくなり、自律神経の動きが鈍ることで副交感神経が優位になるからです。
ニコチンが脳に入ってこないことが眠気の原因ですが、ニコチンを吸うと出る覚醒物質とは何のことでしょうか。これは、脳に入ってきたニコチンを受容する「アセチルコリン受容体」が関係しています。
この受容体が交感神経(興奮)・副交感神経(眠気)の調整をしているのですが、急にニコチンが入ってこないので覚醒は起こらず、アセチルコリン受容体のみが体の中に残り、副交感神経が優位になり眠気が残るというわけです。
ガム・コーヒーで気分転換
ガムやコーヒーは、眠りたいけれど眠れない時にすぐに使える眠気対策方法です。コーヒ、ミント系のガム、などは普段から眠気対策にも使用されているので、眠いと感じた時に使用している人も多いです。
コーヒーに含まれるカフェインの覚醒作用や、ガムに含まれるミントの効果で、気分がすっきりして目が覚めるというものです。ガムを噛むという行為は噛むことで脳に刺激が伝わるので、それによって眠気が解消されます。
さらに刺激のあるミント系のガムで目や口がすっきりして目が覚めてきます。ガムを噛むと集中力も高まるので、仕事中にも活用できます。
しかし、カフェインには注意点があります。カフェインの効果が出るのはコーヒーを飲んでから約30分後。飲んですぐに効くわけではありませんから、注意してください。
可能なら仮眠をとる
眠い時は寝るのがやはり一番効果的ですよね。眠気を感じる時は、少しでも仮眠をとるだけで眠気の症状が緩和されます。コーヒーやガムで気分を変えても軽く運動してみても、効果がない時は寝るのが一番です。
無理して仕事をしても、ミスも起こりますのでできるだけ仮眠をとって乗り切りましょう。
ストレスを減らす
自律神経の乱れはストレスによっても起こるので、ストレスを感じるとさらに眠気を強く感じるようになってしまいます。ですから、ストレスを減らすことも眠気を解消する方法としては効果的です。
ゆっくりお風呂に浸かる、深呼吸をする、好きな趣味に没頭する、思いっきり泣く、誰かと話す、など自分のストレス解消法を見つけて、ストレスを減らす工夫をしましょう。
禁煙で吐き気?その原因と解消法
禁煙による禁断(離脱)症状には、吐き気もあります。これは、禁煙が成功するように使用する禁煙補助剤によってもたらされることが多いです。ここからは、つらい吐き気の症状が起こる原因と対処法を見ていきましょう。
禁煙補助剤使ってる人の効果やリスク
禁煙補助剤とは、禁煙ガム、禁煙パッチ、病院で処方される薬のことで、禁煙をサポートするアイテムです。いきなりニコチンが体に入ってこない状況になることで様々な禁断(離脱)症状が起こるので、禁断(離脱)症状を和らげるために少量のニコチンが含まれています。
しかし、禁煙補助剤の使用はニコチンが含まれているので軽いニコチン中毒や薬剤の副作用として吐き気中枢が刺激されて吐き気を引き起こしてしまうこともあり、使用するメリットもあればデメリットもあるのです。
この吐き気は、禁煙補助剤を使用してすぐに吐き気を感じたり、最初は何も感じなかったが使用中に急に吐き気を感じるようになったり、個人差がありますが、急にくる吐き気はとてもつらいですよね。
禁煙補助剤を使用しなければ吐き気は抑えられるのですが、禁煙による禁断(離脱)症状が強く出る場合は使用しないと、禁煙が続けられない状況もあるので、禁煙補助剤を使用しつつ吐き気の症状を改善できる方法を見てみましょう。
禁煙ガムを減らしてみる
禁煙ガムの使用量が多いことが原因で吐き気の症状が出る場合があります。
禁断(離脱)症状が強いからといって、常にガムを噛むような生活では、常に体内にニコチンが入っている状況になってしまうので、ただのガムではないということを意識しながら禁煙ガムを使用するようにしましょう。
吐き気止めの処方をお願いする
禁煙外来などを受診すると、禁煙補助剤と吐き気止めの併用を勧められることがあります。これは軽い吐き気の場合が多いので、すこしでも吐き気を感じたら病院を受診して吐き気止めの処方をお願いしてみるといいでしょう。
禁煙補助剤を使いつつ、たまに起こる吐き気には吐き気止めを使用して、徐々に禁煙補助剤を減らしていくとニコチンが体内に入る量も減るので自然と吐き気も解消していきます。
肩こりと禁煙の関係!頭痛も肩こりが原因?
禁煙によって肩こりが起こることがあります。これは、煙草を我慢している状況からくるストレスで筋が緊張してしまい、肩が凝ります。ですが、肩の緊張を防げば禁煙で血流の流れがスムーズになることで肩こり改善効果もあります。
それではさっそく、禁煙と肩こりの関係と、肩こり改善のための方法について学習しましょう。
姿勢を良くして改善
姿勢が悪いと血流が滞るので肩こりが起こります。デスクワークなどで普段からずっと同じ姿勢でいる場合は、筋肉が凝り固まるので、禁煙によるストレスで筋が緊張しているところにさらに筋肉の凝りが加わってダブルでつらい肩こりが起こってしまいます。
姿勢をよくするだけで、血行不良による肩こりの症状を軽減できるので、普段から背筋を伸ばし、長時間同じ姿勢を避けるためにも立ち上がって休憩をとったり、姿勢を変えたりしながら過ごしましょう。
肩のストレッチを行う
肩の凝りは、ストレッチなど体を動かすことで血流がよくなり凝りがほぐれて緩和することができます。同じ姿勢でパソコンや机に向かっていると、知らないうちに肩に力が入ってしまうので、フッと肩の力を抜いたり、肩を回したり、といった簡単な方法で肩が固まるのを防ぎましょう。
禁煙のストレスで肩に力が入り、緊張してしまうことが原因の肩こりも、ストレッチをすることで改善するので、ストレッチはとても効果的な方法です。
肩こりほぐしマッサージ
1.腕の力を抜いてだらんと下げ、肩のほぼ中央、筋肉が盛り上がったところ(肩井)反対側の手指で押さえます。
2.ゆっくり深呼吸を行して、息を吐くときに肩井を押すのを3回くりかえします。
3.再度ゆっくり深呼吸をしたら、肩井を押しながら息を吐き、腕をゆっくりと前に上げていき、真上まで上げて後ろへぐるっと回すのを3回くりかえします。
4.肩井の周囲を軽く6回ほど揉んで筋肉を柔らかくします。
5.反対側も同様に行います。
血行不良対策が重要!血流アップ
肩こりは、血液循環がスムーズにいかず血行が滞ることで起こるので、血行不良対策をすることが大切なポイントです。筋肉が凝り固まると、筋肉の近くを流れている血管を圧迫します。
圧迫されると血管が潰れたようになって血液の流れが悪くなり、血行不良になります。血行不良の状態では、疲れの物質である乳酸などの疲労物質が血液とともに流れずに溜まってしまい、さらに筋肉に十分な酸素が供給されず、乳酸が増えて筋肉が硬く凝ります。
ゆっくりお風呂に入る、マッサージをする、などの方法で血行促進をして血流をアップさせることが肩こり改善には必要なのです。
頭痛などは禁煙中の好転反応?
禁煙中には、禁断(離脱)症状として頭痛、眠気、吐き気、だるさ、めまい、など様々な症状が出ますが、これらはどれも体内からニコチンが出ていっている好転反応です。
禁煙はつらく我慢の日々でついもうやめて煙草を吸ってしまおうかと思う時も訪れますが、そこをなんとか我慢すればニコチンが抜けて禁煙がぐっと楽になります。
きっとよくなると信じて、頭痛などの症状が出た際には、今回紹介した原因ごとの対処法を実践して乗り切って禁煙を成功させましょう。