腰痛を伴う婦人病のチェック方法
デスクワークや立ち仕事などでも腰痛を感じることがありますが、普段の腰痛と違う感覚をおぼえることがありますね。腰痛は体の臓器からのSOSサインであることもあるんです。
女性特有の婦人病の疑いも考えられます。この記事では腰痛の症状が現れる婦人病に関する情報をまとめました。
腰痛は子宮・卵巣の疲労からくる
子宮と卵巣、そして腰痛、この3つにはどのような関係性があるのでしょうか?子宮も卵巣も下腹部にあり、腰の下の方に子宮、卵巣は子宮の両側についています。
もしも子宮や卵巣が腫れたり、できものができたりして異常が発生すれば、周りには腸や膀胱など他の臓器、そしてたくさんの神経があるので影響が出てしまいます。腰痛はこの状態のときに発生することが多いですね。
子宮や卵巣がうまく機能せずに疲労していますよ、というサインの現れの可能性があります。
骨盤の歪みやホルモンバランスの乱れが原因の場合も
腰痛が出る原因として他に考えられるのは、骨盤の歪みや女性ならではのホルモンのバランスの崩れです。
出産で骨盤に歪みが出るとはよく聞きますが、骨盤は日常生活を送っているだけで歪みやすく、足を組んで座る、ぺったんこ座り、暴飲暴食、睡眠不足など様々な原因が関係しています。
子宮や卵巣は骨盤内にある臓器なので骨盤が歪むことで影響が出ることがありますね。また女性ホルモンのバランスの乱れは自律神経とも密接に関わっているので、自律神経のバランスも崩れやすくなってしまいます。
これは脳の司令塔が2つとも近いところにあるので、お互いに影響を及ぼしやすくなっているからで、自律神経が乱れてくることで腰痛、肩こり、イライラ、不眠、のぼせなどの症状が引き起こされてしまいます。
婦人病かどうかのチェック項目
ここでは婦人病かどうかをセルフチェックできる項目を集めてみました。今のあなたの状態を確認してみてくださいね。
生理痛が激しい
子宮や卵巣に異常があるかどうか、一番わかりやすいのは生理痛ではないでしょうか?毎回生理痛がひどくいつも痛み止めを飲んでいる場合や、寝込んでしまうことがある場合には子宮内膜症や子宮筋腫の疑いがあります。
子宮内膜症については次の見出しで詳しく解説してあるのでそちらを見てください。
◇子宮筋腫とは
子宮にできる良性の腫瘍です。良性なので命に危険を及ぼすことはありませんが、子宮内にできるとひどい月経痛や経血の量が増え、腰痛、頻尿などの症状が出てきます。
一つだけでなく複数個できることがあり、若くしてできると不妊や流産の原因となることがあります。また閉経後には小さくなるのが特徴です。
月経周期の乱れ(こない、遅れる)
月経は婦人病にかかっているかどうか、健康のバロメーターとも言えるでしょう。いつも周期的に来ていた生理がこなくなったり、遅れたりするようになった場合にも、体からの何かしらのサインなので見逃さないようにしましょう。
ストレスを感じたり不安や心配ごとなどがあったりすると、月経が遅れることはありませんでしたか?女性ホルモンは自律神経にも影響しやすいですし、その反対も言えます。また極度のダイエットが原因で月経がこなくなることもありますね。
そして更年期に近づいてくると月経周期に変化が起きやすくもなります。予定よりも1週間以上の乱れが頻繁に起こる場合には病院で受診したほうがいいでしょう。
経血量の異常(多い、少ない)
月経が来たら毎回経血の量にも注目しましょう。経血の量が多い場合には子宮内膜症や子宮筋腫、がんなどの可能性が考えられます。また少ない場合には過少月経が考えられますね。過少月経とはいつもより少ない経血量の月経のことを言います。
月経が始まったばかりの10代や閉経前であればこの現象は普通に見られるのですが、20代~30代で過少月経が見られる場合には注意が必要です。
子宮内膜症や子宮発育不全症、排卵が起こっていない無排卵周期症、黄体ホルモンの分泌不足による黄体機能不全などが考えられます。
おりものに異常がある(色、におい、出血)
おりものも月経と同じように、女性にとっては子宮の中の健康状態をチェックする大切なものですね。おりものは特に色とにおいに注意して見るようにします。
おりものに異常が見られるときに考えられるのは、クラミジア、卵巣のう腫、細菌性膣炎、トリコモナス膣炎、カンジダ膣炎などがあります。
- クラミジアと卵巣のう腫:水っぽいおりもの
- 細菌性膣炎:黄緑色のおりもの
- トリコモナス膣炎:痒みとクリーム状の泡立ったおりもの
- カンジダ膣炎:ヨーグルト状のおりもの
またおりものに血液が混じっている場合はがんの疑いもあるので病院で受診することをおすすめします。
性交時の出血や痛み
子宮内に異常が発生しているときに性交をすると出血や痛みを伴うことがあります。このときに考えられるのが子宮頸がんと子宮頸管ポリープのなどのがんです。子宮頸がんとは8~9㎝ほどある膣に面したところにでき、普通に生活しているだけでは気付きにくいのが特徴です。
子宮頸がんは性行為をしてそのあとの出血や痛み、血の混じったおりもので異常に気付くことが多いですね。今では定期検診を受けることができるので早期発見早期治療に努めることができます。
また子宮頸管ポリープは子宮頚部の入口付近にできる小さないぼのようなもので、良性の腫瘍です。このポリープが原因となって出血を起こすことがあります。
子宮内膜症は腰痛が起きやすい婦人病
病気のサインの一つとしての腰痛は、子宮内膜症という婦人病にも出てきやすい症状です。ここでは子宮内膜症についてまとめました。
子宮内膜症が原因の腰痛はなかなか治まらない
妊娠する時期が遅くなってきている現代で、20~30代に多く見られるようになっている子宮内膜症。月経痛がひどくなったような痛みを伴うのが特徴です。
月経痛で寝込むことがあったり、痛み止めが効かないことがあったり、月経痛の症状がひどい場合には子宮内膜症の疑いがあるので病院で受診したほうがいいでしょう。
子宮内膜症は普通なら子宮内にしかない子宮内膜が、子宮の外にある卵巣の周りや子宮の壁、お腹などになぜかできてしまう病気です。
一度かかってしまうと月経の間は進行していく病気なので、早期発見早期治療をしていかないことには長い間腰痛に悩まされてしまうこととなります。
原因は癒着
子宮内膜症で腰痛が起きてしまう原因には何が考えられるのでしょうか?女性の体は女性ホルモンの働きによって、生理前になると子宮内の子宮内膜が自然と増えてきます。
そして生理のときには剥がされそれが出血となるのですが、子宮内以外の場所にできてしまった子宮内膜は出血したとしても出ていく場がないんですね。そのためそこに出血した血が溜まっていってしまいます。
古い血液が溜まっていくことで周辺が炎症を起こし、子宮や卵巣などがくっついてしまいます。これを癒着と呼びます。この癒着が腰痛を引き起こす原因となっているんです。癒着が広がると、生理以外のときであっても生理痛のような痛みや腰痛を感じるようになります。
婦人病が起因の腰痛などの不調を漢方で軽減しよう
東洋医学では腰痛などの不調が起きる原因となっているのは、冷えや血の不足と考え、それに効果的な漢方を利用して症状を軽減させます。ここでは効果の期待できる3種類の漢方のをご紹介します。
当帰芍薬散
「血(けつ)」の量が不足気味の状態では栄養が足りず、血のめぐりが悪くなってしまいます。それによって体に余分な水分を溜め込みやすくなったり、冷えを感じたりして腰痛や生理不順などの症状を引き起こしてしまいます。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は栄養を全身に行き渡らせることで血行をよくしてくれます。また利尿作用もあるので体内の余分な水分排出も行ってくれます。
◇こんな人におすすめ:普段汗をかきにくい、足や腰に冷えを感じる、生理不順
桂枝茯苓丸
わたしたち人間の体の中で常に「気」と「血(けつ)」がめぐっています。この2つが体のバランスの調整を行っているのですが、「血」のめぐりが悪くなってしまうことで、体内バランスを崩してしまいます。空気と同じように温かいものは上へ、冷たいものは下へと移動します。
体の中も同じで上半身が温かく、下半身が冷えている現象「冷えのぼせ」の状態が起きてしまいます。桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)は「血」が滞っていることで起きる血流を改善し、全身に血を行き渡らせてくれます。
◇こんな人におすすめ:シミやアザができやすい、特に下半身の冷えがひどい、生理中の前半や生理前に気分が悪くなる
加味逍遥散
体内では「気」と「血(けつ)」がバランスを調整しながら存在しています。女性はこのうちの「血」が体と心のバランスを保つ基本となっているのですが、生理やストレス、疲労などにより「血」が不足しがちとなってしまいます。
特に更年期に入ってくると「血」の量が減少してくるために、体内では「気」が多くなるのですが、「血」が足りないのでうまく循環することができません。
そのため上半身に熱が上がり、冷えのぼせの症状が出てイライラしたり、気分が不安定になったりすることが多くなってしまうんですね。加味逍遥散(かみしょうようさん)は上半身に溜まっている気を下へと移動させることで「血」のめぐりをよくしてくれます。
また足りなくなっている「血」の補充もしてくれて、自律神経のバランスも整えてくれます。中でも「肝」(肝臓)に異常が見られることで引き起こされているイライラ、不眠症などの症状にも効果が期待できます。
◇こんな人におすすめ:のぼせがある、イライラする、気分が不安定
今出ている症状を痛み止めなどの薬を使い、すぐに解決する対処療法をとるのが西洋医学です。それに対して出ている症状の根本にある体質改善を目的としているのが、東洋医学です。腰痛は婦人病の可能性があるという一つのSOSサインの場合も考えられます。
冷えや生理痛、腰痛に悩まされているのなら、婦人病対策として漢方を上手に取り入れていくのも一つの手ではないでしょうか?