血糖値が低いのは病気?どれぐらいから低血糖?
あなたは血糖値を気にしていますか?普段から気にしていないのであれば、これを機にぜひ一度検査してみましょう。実は思わぬ病気が潜んでいる場合があるからです。
高血糖という言葉はよく耳にすると思いますが、高血糖の反対、血糖値が低いことも問題があり、改善しなければいけない状態です。ではなぜ血糖値が低いと問題があるのでしょうか?
血糖値の基準値とは
血糖値とは「血液中のブドウ糖の濃度」を指す言葉です。この値には基準があり、一定値以上で高血糖、一定値以下で低血糖と決まっています。
血糖値の基準は、「空腹時70~109㎎/dl」と「食事から2時間後は140㎎/dl未満」です。ちなみに、空腹時の血糖値が126㎎/dl以上か食事後2時間後の血糖値が200㎎/dl以上の場合は、高血糖状態となり糖尿病の危険があります。
血糖値は道具さえあれば自分で測ることもできます。もし今の血糖値が知りたいのであれば血糖値測定器を自分で購入するか病院で調べてもらいましょう。
血糖値が低いとなぜダメ?
低血糖とは血糖値が何らかの原因で急激に下がってしまい、血糖値が70㎎/dl未満になった状態です。血糖値が高いわけではないため、危険がないと思われがちですが、実は重症化してしまうと不整脈や心筋梗塞などの病気になってしまう可能性があるのです。
血糖値が低いと初めはめまいや手の震えなどの症状が表れます。低血糖状態が続いてしまうと重症化してしまい、最悪の場合は昏睡状態になる危険もあるため、血糖値を正常に保つように治療や対策をしなければいけません。
血糖値が低い原因は?
では血糖値はなぜ低くなるのでしょうか?普通の生活を送っていれば、通常は血糖値が低くなる・高くなるということは滅多にありません。
ですが、血糖値は生活習慣が原因で上昇・下降を繰り返します。つまり、日常生活の中で気をつけていなければ正常な血糖値を保てないのです。
不規則な食事習慣
食事をする時間が不規則である、栄養のある食事をきちんと摂れていない、3食きちんと摂れていないなどの食事習慣が原因として考えられます。忙しいから朝は食べないとか、ダイエット中だからと食事を抜いてしまうと低血糖の危険が上がってしまいます。
食事を抜くと頭がボーっとしたりめまいや頭痛がしますよね?実はその体調不良は、血糖値が低くなっている証拠なのです。
アルコール
アルコールの摂りすぎは高血糖になる、というのはよく聞きますが、アルコールも空腹時に摂取すれば低血糖の原因に変わります。
通常食事量が少ない場合は、血液中の血糖値不足により肝臓のグリコーゲンタンクから糖新生が行われます。
これにより血糖値が低くなるのを防いだり、脂肪を燃やしやすくしてくれるのですが、アルコールを空腹時または食事量低下時に摂取すると糖新生の働きが抑制されてしまいます。
そのため糖を作り出すことができなくなり、血液中の糖が足りない状態=血糖値が低い状態となるのです。
肥満
過食による肥満は低血糖を招く原因です。糖質の多い食事を摂っていると、血糖値が急激に上がってしまうため、それを下げようとするインスリンが多く分泌されます。インスリンが多く分泌されると、血糖値が下がってしまいます。
いい具合に血糖値が下がってくれれば問題ないのですが、そんなにうまく血糖値は安定してくれません。そのため血液中の糖の濃度が低くなり頭痛やめまい、手の震えなどを引き起こし、重症化すると命が危険に晒されるのです。
薬の影響
服用している薬によってはインスリン分泌を促してしまう効果や副作用の危険性があります。医師から出された薬が原因で低血糖になってしまう可能性もあるため、薬を飲んで頭痛やめまい、吐き気、手の震えなどの症状が表れ始めたら薬を持って医師に相談してみましょう。
インスリン分泌を促してしまう可能性がある薬や低血糖を招いてしまう薬は主に、抗不整脈薬やα-グルコシダーゼ阻害薬、アスピリン、リトドリン(ウテメリン)などが挙げられます。
インスリン自己免疫症候群
インスリン自己免疫症候群とは、インスリンに対する抗体が体内で誤って作られてしまい、体内で自分の意志とは関係なくインスリンを排除しようとする症状です。
インスリンに対する抗体のことを「抗インスリン抗体」といい、体内で「異物と認識したもの(ここでは抗インスリン抗体)を排除しようとする」働きを自己免疫反応といいます。
インスリン自己免疫症候群が起きてしまう原因としてもっとも考えられているのは、高血糖の治療に使われる「インスリン注射」です。
体外から入ってきたインスリンにインスリン抗体がくっついてしまい(結合)その働きを防いでしまうため、本来ならば血糖値を下げることができないのです。
ですが、このインスリン抗体の結合力が強いわけではないので、いつ結合が解かれるか分かりません。結合が解かれてしまうと、インスリン抗体にくっついていたインスリンが大量に体内に放たれます。
そうなればインスリンが血糖値を下げようとするのですが、インスリンの数が多いために血糖値を一気に下げてしまい「低血糖状態」となるのです。
糖尿病でも血糖値が低いのはなぜ?インスリン治療はどうすれば良い?
インスリン治療が低血糖状態を招いてしまうなら、糖尿病の治療はどうすれば良いのでしょうか?医師からインスリン治療をするように、といわれても、いつ自分がインスリン自己免疫症候群になってしまうか分からないため、使用するのが怖く感じますよね。
しかし、低血糖状態になるのも怖いからと注射をしないでいると、医師の指示に反してしまうし糖尿病も治りません。くれぐれも自己判断で治療を中断することはしないようにしましょう。
治療薬が効きすぎている場合
治療薬は患者の状態に合わせて処方されています。しかし、生活のリズムが狂ってしまったり、食事内容が変わった、などの原因により体内環境が変わることで、処方された薬であっても効果が効きすぎてしまう場合があります。
治療薬が効きすぎている場合は、摂取量と食事量を比較してみましょう。治療薬は食事量や時間に合わせて摂取量が決められています。勝手に治療薬の量や時間を変えてしまうと効果が出にくくなり、低血糖状態の方へ偏ります。
もし摂取量や時間、食事量などを見直しても問題がない場合は医師に薬が効きすぎている旨を伝えましょう。
糖尿病の人の血糖値が低くなった場合の危険性
糖尿病の人が低血糖状態になると、自分で血糖値を上昇させられないと考えられています。そのため空腹時間が長かったり食事制限をしてしまうと、低血糖を引き起こす危険があります。
軽度の場合は自己対処が可能ですが、車などを運転している場合などは事故を起こしやすく大変危険です。糖尿病の人であっても、めまいや動悸、手の震え、頭痛などの諸症状が表れ始めたら休憩し食事やブドウ糖を摂取するようにしてください。
少しなら大丈夫という油断が大きな事故に繋がる可能性があるため、心配ないと考えることは止めましょう。
血糖値が低い時のインスリン治療
血糖値が低い時のインスリン治療はまず医師に相談してからにしましょう。自己判断で治療を続けてしまうと命を脅かす可能性があります。
高血糖状態も危険ですが、低血糖状態も同じく危険です。自分の判断一つで命を左右する場合もあるため、安易に考えずに専門家の指示を仰ぎましょう。
血糖値が低い場合に起こる症状は?値ごとに解説
血糖値が低い場合に起こる症状を知っておくことはとても大切です。以下の症状を良く理解しておくと、いざ症状が表れたときに自己対処することができます。また自分で低血糖状態だと気づかない「無自覚低血糖」の危険も下がります。
血糖値が低いと生活にも支障が出てくるので、早めに対処するようにしましょう。
血糖値が70mg/dl以下
血糖値が70ml/dl以下の場合はまず空腹感やあくび、悪心などの症状がみられます。この血糖値で起こる空腹感は、いつも感じるような空腹感ではなく、動悸やめまいなどを伴う異常な空腹感です。
また血糖値が低下しているため思考も鈍くなっています。まだ低血糖の初期段階といえ、症状も軽いものが多いです。
血糖値が50mg/dl以下
血糖値が50㎎/dl以下になると上記の症状に加え無気力感や倦怠感、思考能力の低下などの症状が表れます。低血糖状態が中度になってきたため何もする気が起きず、身体が思うように動きません。
主にこの時点で中枢神経の働きが大幅にダウンします。中枢神経とは脳や脊髄など、神経細胞が集まってできている大きな組織・領域のことです。この状態を放っておくと意識が朧気になる危険があります。
血糖値が35mg/dl以下
この時点になると意識の低下や消失、痙攣、見当識障害、せん妄などの症状が表れます。これはとても危険な状態で、早く対処しなければ命を落とすことになります。また無意識低血糖症だった場合は大事故を起こしてしまう可能性が非常に高いです。
自分では救急車を呼ぶことも難しいので、傍にいる人や家族が気づいて対応してあげなければいけません。
血糖値が20mg/dl以下
血糖値が20㎎/dl以下になると非常に危険な状態です。昏睡状態に陥り、そのまま亡くなってしまう可能性があります。意識もないため自分ではどうすることもできない状態になっています。突然意識が無くなることもありますし、意識障害から昏睡状態へと移る場合もあります。
低い血糖値でめまいが起きた時の対処法
血糖値が下がるとめまいや頭痛が起こります。その際に必要となるのは「ブドウ糖」の摂取です。意識がある場合はブドウ糖を含んでいるものを5g~10g口にします。砂糖なら10g、ジュースの場合は200mlほどです。
ブドウ糖・砂糖は効果を比較的すぐに感じますが、これら以外は効果が遅い場合があるため注意しましょう。また摂取から15分経っても症状が良くならない場合は医療機関を受診してください。
自分で口に含むことができない状態なら、傍にいる人や家族に頼みましょう。誰にも頼めない場合はすぐに救急車を呼びましょう。飲み込むことさえ難しい場合は歯茎や舌に塗ってもらい舐めるように口にしてください。
低い血糖値にならないための対処・食事での注意点
血糖値を正常に保つためにはどうしたらよいのでしょうか?
それは、やはり一番は食事方法を気をつけることです。食事を抜いてしまったり、きちんとした量を食べなければ糖分などの栄養を補給することができません。ダイエットだからと過度な食事制限はもっての外です。
1日3食
1日3食きちんと摂ることで、空腹時間を少なくし、また決まったパターンで糖分などの栄養を摂取することができます。朝は忙しいからと朝食を抜いてしまうと意識の低下に繋がります。少しでも良いのでヨーグルトやバナナを口にするようにしましょう。
また3食栄養バランスの取れたものを口にするように気をつけましょう。栄養バランスが偏った食事を続けてしまうと、食事内容によっては量に気をつけていてもインスリンの分泌が活発化してしまいます。
食事量は多すぎず少なすぎず
食事の量は多すぎても少なすぎてもいけません。
多すぎた場合ですが、食事量が多いと血糖値が急激に上がります。インスリンは急激に上がってしまった分を同じように下げようとします。そのため多く食事をしても低血糖状態になる可能性があるのです。
食事量が少ないと、必要な糖分が摂取できていないために血糖値が上がりきらず、食事をしていても低血糖状態が改善されません。食事量は多すぎず少なすぎず、腹8分目くらいにしましょう。
栄養バランスを考えて
食事をするときは栄養バランスを考えましょう。ジャンクフードばかり、野菜ばかりでは栄養バランスが崩れ、血糖値が上がらない・下がらないどころか健康にも良くありません。
しかし、3食バランス良く食べることが難しい場合もありますよね。その場合は少しでもバランスの良い食事内容にするように気をつけましょう。例えば、朝はパンしか食べないのであれば、ヨーグルトやバナナ、牛乳などを1点追加してみましょう。
夜は疲れてしまいあまり食べられないなら、栄養のある具だくさんのスープを食べるようにしましょう。食事は健康を作るだけでなく、自分の命を守ることにも繋がります。きちんと食べて血糖値を安定させましょう!