玄米で善玉菌を増やそう!玄米は腸に良い
玄米は近年の健康食ブームで注目され、食卓に並ぶことも珍しくなくなりました。
玄米は白米のように精米していないお米なので、胚芽・果皮・種皮・糊紛層(まとめてヌカという)が残っています。ここにビタミンやミネラル・食物繊維が多く含まれているので玄米はとてもバランスの良い食品なのです。
完全食品といわれる玄米には食物繊維が白米に比べて8倍も多く含まれています。3食のうち1食を玄米に変えてみるだけでも高い栄養素を摂取できます。
食物繊維は善玉菌のエサとなる
玄米には水溶性と不溶性の食物繊維が含まれています。水溶性食物繊維は、水に溶けてゲル化して老廃物を便として排泄させるようにはたらきます。不溶性食物繊維は、腸内で水分を吸って便を膨らませて腸を刺激し、ぜん動運動を高めるはたらきをします。
食物繊維は腸内で発酵して善玉菌のエサとなることで腸内フローラを整えます。この効果がより高いのは不溶性食物繊維よりも水溶性食物繊維といわれています。
また、おかずに水溶性食物繊維を多く含む食品を取り入れて玄米と同時に摂取すれば、便を柔らかくし便秘になりにくくなります。
発芽玄米なら更に吸収率がアップ
玄米は硬いので食べるときはよく噛みましょう。一口で50~100回は噛むのを推奨されています。玄米をよく噛むと栄養素の吸収率を上げ、消化もよくなるからです。
また、普通の玄米よりも食べやすいものに発芽玄米があります。これは玄米をわずかに発芽させたもので、発芽の作用で玄米の硬い殻が柔らかくなって食べやすいのが特長です。
ミネラル類の吸収率も発芽玄米のほうが高く、ギャバの量(血圧を下げたり中性脂肪をコントロールする効果のあるアミノ酸の一種)は発芽玄米のほうが倍以上と大きく増加します。
動物性タンパク質に注意!玄米で善玉菌と微生物を増やそう
肉食の多い方は腸内環境に注意が必要です。
これは胃で完全に消化されなかった肉が腸内で悪玉菌のエサとなり、悪玉菌が増える原因になるからです。このとき腸内はアルカリ性に傾いているので、酸性の腸内環境を好むビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が生存できなくなります。
悪玉菌が多い腸内環境とはガンや認知症、潰瘍性大腸炎などが発病しやすいので改善の必要があります。
玄米を食べると食物繊維が善玉菌のエサになり、短鎖脂肪酸という免疫力向上や腸内環境を良好に保つための物質を生み出します。すると腸内環境が酸性になるのでさらに善玉菌が増える状態になります。
腸には微生物がたくさん住んでいる
腸内には細菌がおよそ100種類・100兆個生息しているといわれています。腸内細菌のはたらきは私たちの健康維持にとても重要で、免疫力を回復・強化、必須ビタミンの合成、感染予防などに役立っています。
この腸内細菌は大きく3種類に分類されます。
- 善玉菌・・・健康維持や老化防止に役立つ(ビフィズス菌・乳酸菌など)
- 悪玉菌・・・老化の促進や発がん物質の産生(ウェルシュ菌・ブドウ球菌など)
- 日和見菌・・・健康なときはおとなしいが体が弱ると腸内で悪い働きをする(バクテロイデス・連鎖球菌など)
腸内の細菌群は年齢と共に変化します。年齢を重ねていくと悪玉菌の割合が増加して、高齢になると善玉菌が減少し、若年ではあまり検出されなかったウェルシュ菌などの悪玉菌が高確率で検出されるようになります。
体と腸の健康は密接な関係があると考えられますので、悪玉菌の増殖を防ぎ善玉菌を増やす食生活がとても大切です。
悪玉菌が活発に働くと腐敗臭が?
玄米や野菜などに含まれる食物繊維が発酵されるときに出るガスはあまり臭いがなく、中には活性酸素を除去する効果のある水素ガスもあると考えられています。
一方、悪玉菌が増えて腸内の腐敗が進行するとアンモニアなど有害物質や有害ガスが発生します。これが宿便や臭いの強いオナラの原因になります。このようなときは動物性タンパク質や脂質の摂取を控え、食生活を見直して腸内環境を整えましょう。
玄米の食物繊維で便秘解消!善玉菌も増殖
便秘解消には、白米よりも玄米のほうが食物繊維が豊富に含まれているのでおすすめです。
白米は胚芽やぬかなどを取り除いているので、お米本来の栄養分がかなり削られてしまっています。しかし玄米は、もみ殻だけ除去し胚芽やぬかは残されているので、栄養素の中でも特に食物繊維が多く含まれています。
例えば、白米はご飯一杯分の食物繊維が0.6gしかありませんが、玄米は5.3gも含まれています。
玄米を食べると腸内の善玉菌を増やし便秘を改善すると共に、腸内に溜まってしまっている発がん性物質やコレステロールなど健康に害を及ぼす物質を体外に排出する効果も期待できます。
便秘に効果のある成分はフィチン酸
玄米に含まれる成分の中で特に注目されているのが、高い抗がん作用や解毒効果を持つフィチン酸です。フィチン酸は未精製の穀類に多く含まれている成分です。
フィチン酸は非常に安全な栄養素で、摂取しても副作用を引き起こすことがありません。また、フィチン酸を豊富に含む玄米を3食食べてもビタミンやミネラルが排出されないので欠乏を恐れる必要もありません。
フィチン酸の優れた作用の一つに、体内の有害物質を体外に排出させるデトックス効果があります。食品添加物や農薬、汚染物質の水銀やカドミウムなどと化学結合して不溶性の塩となり体外へ排出させます。
このデトックス効果は便秘改善にも効果的で、腸内環境の健全化に役立ちます。
油分と一緒に食べると吸収力がアップ
玄米は油分と一緒に食べると吸収力がアップします。このときの油分はオメガ3系脂肪酸のものがおすすめで、亜麻仁油やえごま油、魚油がよいでしょう。
魚油とは魚由来の油で、サバやイワシなどの青魚に多く含まれます。またDHAやEPAといったオメガ3不飽和脂肪酸は魚にしか含まれていません。
オメガ3系脂肪酸はコレステロールを下げ、血液をさらさらにする効果があります。この油分と玄米を一緒に摂取すると腸内の善玉菌が活性化されて腸内環境が整うので、便秘改善効果が高まります。
やっぱり和食がおすすめ!玄米で善玉菌を増やす
腸内環境を整えるための食事は、和食がおすすめです。
和食で使われる食材には、味噌や納豆、しょう油などの発酵食品が多く、これらが乳酸菌などの善玉菌を増やし定着させて活性化させるので、悪玉菌が作り出す有害物質を排除するのに役立ちます。乳酸菌を多く含む質の良い発酵食品と、その選び方をご紹介します。
- しょう油は「生醤油」を選ぶ・・・非加熱食品で乳酸菌酵素が生きています。
- 味噌は「天然醸造」を選ぶ・・・天然のものは含まれる乳酸菌の量が違います。
- 漬物は「ぬか漬け」を選ぶ・・・乳酸菌と酵素が大量に入っています。
玄米は善玉菌が増える一方で注意点も
玄米は食物繊維が豊富なので、便秘改善するためにぜひ取り入れて欲しい食品です。しかし玄米を食べ始めてから逆に便秘が悪化することがあります。
玄米はお米の外皮を残しているので消化が悪く、よく噛まないと消化不良を起こしてしまうからです。それを予防するために玄米を食べるときは、ひと口50回以上しっかり噛んで食べましょう。
玄米の食物繊維は「不溶性食物繊維」
玄米に含まれる不溶性食物繊維の影響でも便秘の悪化を招きます。不溶性食物繊維は腸内の水分を吸収して膨らみ、便を大きくして腸に刺激をあたえ便を排出させます。そのため水分が少なくなると便が硬くなってしまいます。
玄米を食べるときは水分も一緒に摂取するのを心がけましょう。
便を柔らかくする「水溶性食物繊維」も摂ろう
水溶性食物繊維は名前の通り水に溶ける種類の食物繊維で、水分の保持力が強く水に溶けるとドロドロのゲル状に変化します。
便秘改善の効果を高めるために、便を柔らかくする作用のあるバナナやリンゴ、海藻類やキノコなどの水溶性食物繊維を含む食品もバランスよく食べましょう。