ヘム鉄と非ヘム鉄の違い
貧血やイライラの緩和に効果的な鉄分。普段意識して摂取している方も多いのではないでしょうか?
実は鉄分と一口に言っても、吸収率の違いや効果によって大きく2種類に分けられます。あなたに合った鉄分はどちらの鉄分か、確認していきましょう!
ヘム鉄は動物性食品に、非ヘム鉄は野菜や穀類に含まれる
鉄分はレバーやしじみなど動物性食品に多く含まれるヘム鉄と、ほうれん草やひじきなどの野菜や穀物類に多く含まれる非ヘム鉄の2種類に分けられます。日本人は穀類や野菜を多く食べるので、非ヘム鉄の摂取量のほうが多いと言われています。
ヘム鉄のほうが、非ヘム鉄より吸収率は高い
同じ鉄分ですが、ヘム鉄と非ヘム鉄では吸収率が異なります。ヘム鉄は摂取量の10~20%、非ヘム鉄は摂取量の1~6%が吸収されます。これほど違いがあるのは、非ヘム鉄は食物繊維などの他の栄養素からの阻害を受けやすい性質だからです。
ヘム鉄のほうが、非ヘム鉄より体にやさしい
非ヘム鉄はヘム鉄に比べ吸収率が劣るほか、摂取しすぎると吸収される際に胃腸を荒らしてしまう事があります。また、意識して非ヘム鉄を摂りすぎてしまうと、鉄分の過剰摂取となり心機能や肝機能に影響が及ぶ可能性も。
対して動物性食品に多く含まれるヘム鉄は、吸収されやすいだけでなく過剰摂取されないよう体内で調整されます。これはヘム鉄が体内の鉄分と同じ構造を持つからで、吸収される際にも体にやさしいと言われています。
ヘム鉄・非ヘム鉄を多く含むおすすめ食品
それでは、ヘム鉄・非ヘム鉄が食品にどれだけ含まれているかの目安をご紹介します。
意外と含まれている食品は多いので、様々な料理に鉄分を取り入れられそうですね。
ヘム鉄を含む食品
ヘム鉄は動物性食品に多く含まれています。100gあたりの含有量の多い食品は次のようなものがあります。
- 豚レバー 13㎎
- 鶏レバー 9㎎
- 牛ミノ 6.8㎎
- 卵黄 6㎎
- しじみ 5.3㎎
- あさり 3.8㎎
他にもかつお節や煮干しにも鉄分が多く含まれていますので、お出汁をイチから取るのも効果的です。
非ヘム鉄を含む食品
非ヘム鉄は緑黄色野菜や大豆などの穀類に多く含まれています。100gあたりの含有量の多い食品は次のようなものがあります。
- 乾燥ひじき 55㎎
- ほうれん草 2㎎
- 小松菜 2.7㎎
- 乾燥大豆 9.4㎎
- 油揚げ 4.2㎎
- 納豆 3.3㎎
ヘム鉄に比べて含有量が少ないものが多いですが、和食であれば1食あたりに複数の食品が使われることが多いですね。大豆製品であるお味噌にも非ヘム鉄は含まれているので、毎日飲みたいところです。
ヘム鉄・非ヘム鉄の効果的な摂取方法
ヘム鉄であれば問題なく体内に吸収されるので積極的に摂取したいところですが、なかなか毎日レバーやしじみを食べるのは難しいかと思います。
そこで、非ヘム鉄をなるべくたくさん吸収できるコツをご紹介します。
たんぱく質やビタミンCと一緒に取る
ヘム鉄はヘムというタンパク質の1種に鉄イオンが包まれたものを指します。このヘムが腸への吸収を安定させる役割があるので、鉄イオンがヘムに包まれていない非ヘム鉄は吸収されにくいと言われています。
非ヘム鉄の吸収を安定させるには、タンパク質が分解されたアミノ酸が必要不可欠。なるべくタンパク質の多い食品と一緒に取りましょう。また、非ヘム鉄は体内で酸化しやすいので還元する作用のあるビタミンCも一緒に摂ると吸収率が高まります。
紅茶やコーヒーと一緒に取らない
お茶類や柿、コーヒーの渋み成分であるタンニンは、鉄イオンと結合して体外に排出してしまう働きがあります。鉄イオンがむき出しの非ヘム鉄は、タンニンと一緒に取ってしまうと吸収率が激減してしまうので注意が必要です。
とはいえ、タンニンは抗酸化作用や抗菌作用があり健康には欠かせない成分。食事中にお茶を飲むのを避けるようにすれば、あとはそんなに気にすることはないでしょう。
鉄分不足の解消には、非ヘム鉄よりヘム鉄サプリの活用
血液検査でいつも貧血気味と診断される人は、食品だけでなくサプリメントに頼るのも一つの手です。食品からは摂りづらいヘム鉄のサプリメントはしっかり栄養補給できるのでオススメですよ。
食後1~2時間後に飲む
非ヘム鉄であればタンパク質やビタミンCと一緒に取る必要がありますが、ヘム鉄は他の栄養素に阻害されることはありません。サプリメントは食物繊維と一緒に排出されてしまわないよう、食後1~2時間後の消化が進んだ時間に飲むのが良いでしょう。
摂取量を守って飲む
貧血症状がひどいからと言ってサプリメントを摂りすぎても意味はありません。前述のとおりヘム鉄は体内の鉄分と同じ成分なので、摂りすぎた分は吸収されないように調整されます。たくさん摂ってもその分排出されてしまうのです。
ヘム鉄・非ヘム鉄の過剰摂取による副作用
ヘム鉄は過剰摂取しても体内で適正量に調整することができますが、非ヘム鉄は過剰摂取の恐れがあります。
急激に大量摂取すると副作用の恐れもありますので、用量を守って摂取することが重要です。
鉄分の1日の上限摂取量は40mg~45mg
吸収率も考えて、鉄分の摂取上限は40~45㎎と言われています。食品だけの摂取はあまり問題ではありませんが、サプリメントに加えて非ヘム鉄を多く含む食事を摂っている人は要注意。非ヘム鉄の摂取量が多すぎる場合があります。
過剰摂取が引き起こす副作用
大量に鉄分を摂取してしまうと、急性の症状としては吐き気や腹痛、下痢、意識低下や痙攣などの症状が起こります。慢性的に過剰摂取が続いている人で睡眠障害になっている人も見られます。
ただこれらの症状は点滴などで大量に摂取した場合のリスクなので、経口摂取ではあまり見られない症状だと言われています。ただ長期間の鉄分の過剰摂取が続くと肝機能や心肺機能が低下したり皮膚の色素沈着が見られたりするので注意しましょう。
非ヘム鉄よりヘム鉄の摂取が貧血防止になる
ヘム鉄・非ヘム鉄の違いについて見てきましたが、貧血予防や改善にはヘム鉄を積極的に摂取したほうが良いことが分かりましたね。
非ヘム鉄と合わせて過剰摂取になる心配もありますが、現代人は鉄分不足の人のほうが圧倒的に多いと言われています。疲れ知らずの活動的な毎日を送れるように、意識して鉄分を摂取していきましょう!