不足すると怖い栄養素、マグネシウム
マグネシウムは体の生命活動をするのに欠かせないミネラル、栄養素の一つです。このマグネシウム不足が原因で様々な体の不調が引き起こされてしまいます。
せっかく毎日の食事でタンパク質やビタミンを摂取しても、ミネラルも摂取しなければそれらを体内でうまく使うことができず、むだになってしまうのです。ミネラルはビタミンと同じく体内で合成できないので、毎日の食事や良質なサプリメントなどで摂取します。
マグネシウムが不足するとこのような症状を引き起こします。
- 体の震え、筋肉が痙攣する
- 憂鬱な気分で不安になる
- 気分が興奮したり錯乱する
- 基礎代謝が正しく機能しない
- 糖尿病、癌の発症率が上昇する
- 気管支炎、喘息などの発症率が上昇する
- 心筋梗塞、脳卒中の発症率が上昇する
全体の50~60%は骨にあり体内の代謝のカギを握る
私たちの体内には約25~30gのマグネシウムが存在しています。そのうち50~60%は骨にあります。また血中にも1%あり、これが不足すると骨に貯蔵されたマグネシウムから補うことになります。
マグネシウムは治癒力のある、とても重要なミネラルなのです。
- エネルギー代謝を促進し、疲労回復を手助けする
- 筋肉の働きを調整する
- 筋肉痛を緩和する
- イライラを解消する
- 血液を固まりにくくする
- 体温や血圧を正常に保つ
- 腎臓や血管壁へのカルシウムの沈着を防ぐ
- カルシウムとともに骨を強化する
- 歯のエナメル質をつくる
- インスリンの分泌を促進する
加齢、ストレス、生活習慣や食生活の変化で不足気味に
現代は生活習慣や食生活が不規則であったりします。手軽なレトルトやインスタント食品ではどうしてもミネラル不足になりがちです。リンを含む加工食品、肉の摂りすぎもマグネシウムの吸収を阻害します。
また年齢を重ねること、家庭や仕事でのストレス、妊婦や授乳期は赤ちゃんに取られてしまうため、マグネシウム不足になりがちです。
特に中年層は血液中のマグネシウム値が他の年代に比べて低い傾向にあることも分かっているので、体調不良を招かないためにもマグネシウムをはじめとしたミネラル摂取は大切です。
不足すると糖尿病や高血圧、心筋梗塞のリスクも高まる
糖尿病の人は、体内のマグネシウム値が低いことが報告されています。マグネシウムが不足すると血液が凝固しやすくなるので、血栓の危険が高くなったり、細胞内に取り込まれる水分も多くなるため、むくみが発生して高血圧の原因となってしまいます。
高血圧などで血管内部に傷がつくと、カルシウムが傷をふさぐために集まります。この状態が長期化すると細胞が死んでしまい、血管に沈着したカルシウムから動脈硬化が始まります。これが心筋梗塞につながります。
マグネシウムにはこのカルシウム沈着を防ぐはたらきがあります。さらに血管の収縮を防いで拡張させる作用もあります。
めまいやこむら返り、足がつるのはマグネシウム不足?
マグネシウムの働きは主に、骨の強化・血流の促進・血圧の安定化です。マグネシウムが不足するということは、これらの働きが低下することで、体に現れる症状になります。
運動疲労で足がつったり、こむら返りすることがあります。それ以外にマグネシウム不足が原因でそれらの症状を引き起こすと考えられています。
これは体内のミネラル分が汗として出てしまうことが要因と考えられます。運動など汗をかいたあとはミネラルを意識的に補いましょう。
また、マグネシウムはイライラするのを軽減させます。めまいは精神的ストレスが原因であることが多いので、めまい防止にカルシウムと一緒にマグネシウムを摂りましょう。
筋弛緩剤の役割があり不足すると筋肉のけいれんや貧血にも
マグネシウム不足による初期段階の症状として、学習能力や記憶力など脳の活動の低下があげられます。これは血流量や血圧の低下から脳への酸素不足が引き起こされるためです。人によっては貧血になることもあります。
さらに、マグネシウムは筋肉を弛緩させる効果があります。不足すると筋肉が緊張して、筋肉のけいれん、疲れを感じやすくなるなどの症状にもつながってしまいます。
筋肉に動きを伝えるカルシウムの量を調節できなくなり異常状態に
マグネシウムとカルシウムはとても重要な関係を持っています。片方が細胞から流出(不要なものを排出)すると片方が流入(栄養分の吸収)します。お互いに助け合いながら作用するので、体内にはマグネシウムとカルシウムがきちんとした割合で存在することがとても重要なのです。
マグネシウムが不足するとカルシウムとのバランスが崩れ、マグネシウム不足と同様にカルシウム不足の症状も誘発してしまいます。
マグネシウムはカルシウムの司令塔であり、筋肉の緩和と緊張をコントロールしています。そのバランスが崩れて筋肉に余分なカルシウムが増えると高血圧や肩こりの原因に、血管に増えると動脈硬化の原因にと、多くの生活習慣病の原因にもなってしまうのです。
マグネシウム不足が原因でうつや不安症状も
マグネシウムは筋肉のはたらき以外にも、ホルモンのバランスや神経のはたらきにも重要な栄養素です。
特にカルシウムとマグネシウムの組み合せには鎮静作用があり、女性特有の月経前の気分のむらや、集中力に欠け落ち着きのない子供にも役立ちます。病気のときやストレスの高いとき、寒いときには普段より多くのマグネシウムが必要です。
自律神経を不安定にさせ不眠や不安症状に
不眠はマグネシウム不足だけが原因ではありませんが、大きな原因の一つとしてマグネシウム不足があげられます。体内のマグネシウム不足は、自律神経を不安定にさせてしまうため、体がリラックスしにくい状態を招く結果として、不眠を引き起こすことが考えられます。
また、マグネシウムは筋肉の緊張をほぐすために使われる筋弛緩剤(きんしかんざい)としても活用されます。そのため一部の人には睡眠不足の緩和や筋肉の痛みを緩和する薬として処方されたりもします。
慢性的不足はうつにも繋がる
マグネシウム不足は精神神経症状の原因になる可能性があります。記憶障害や抑うつ気分がはじめに現れて、うつ病の原因となることもあります。日ごろからマグネシウムが不足しないようにしましょう。
女性は無月経やPMSを感じやすくなる人も
女性の場合、マグネシウム不足は無月経のほか、強い月経痛や月経前症候群(PMS)を感じやすくなるなどの症状につながる場合があります。
食生活を改善してマグネシウムを多めに摂取するよう心がけましょう。女性用マルチビタミンミネラルのサプリを取り入れるのも方法の一つです。
マグネシウム不足を解消するには
マグネシウム不足の原因として、ファストフードやレトルト食品などの加工食品が増え、それらを食べる機会が増えたことがあげられます。また、ストレス・アルコールの飲みすぎもマグネシウム不足の原因になります。
血液中に含まれるマグネシウムの量は全体の1%ほどです。しかし不足すると体は骨に蓄えられたマグネシウムから補充しようとします。
しかし、マグネシウムは、カルシウムに比べて骨から取り出すはたらきがあまり強くありません。その結果として血液中にうまくマグネシウムが行き届かず不足の状態になりやすいのです。マグネシウムは栄養を考えた普段の食事でしっかりと補うことがとても大切です。
ミネラルの多い食品や硬水、天然塩などを食事に取り入れる
食品からの摂取であれば多めにマグネシウムを摂取しても問題ないでしょう。注意しなければならないのは、腎機能が弱まっている場合やサプリメント、製剤を使用している場合です。
マグネシウムを含む食材
しらす干し、干しえび、いくら、あさり、つぶ貝、いわしの丸干し、わかめ、とろろ昆布、ひじき、あおさ、のりの佃煮、枝豆、アーモンド、落花生、くるみ、ゴマ、ピスタチオ、大豆、油揚げ、しそ、かつお節、納豆、パセリ、以上がマグネシウムを含む食材となります。不足するのを補うために食べるのは良いのですが、摂取し過ぎると副作用で悪い症状が出る事もあるので、ほとほどに食べましょう。牛乳やチーズはカルシウムなので、取りすぎると不足の原因となります。これらはどちらも摂取し過ぎるのは良くないため、マグネシウムとカルシウムなどバランスを考えて摂取するようにしましょう。
参照元:http://sizennnaseikatu.com/archives/694.html
他にも硬水、にがり、天然塩などを取り入れてみるのも効果的です。
梅干しやお酢などの有機酸でミネラル吸収率をUP
クエン酸などの有機酸には、吸収率の低いカルシウムや鉄の吸収を促すはたらきがあります。他にもカルシウムが骨から流出されるのを防ぐなどのはたらきがあるといわれています。日常的に梅干しやお酢を摂取すると、体内でのカルシウム定着率をだんだん高めてくれます。
ミネラルが必要な成長期の子どもや高齢者、中高年の方にも、有機酸は優れた効果を発揮してくれます。
カルシウムとマグネシウムはセットで摂取
カルシウムとマグネシウムはバランスよく摂取するのがとても大切です。理想のバランスはカルシウム2:マグネシウム1で、このバランスが崩れるとカルシウムをたくさん摂っても骨からカルシウムが溶け出してしまうため、骨粗しょう症や骨折の原因になってしまいます。
マグネシウムを多く含んだ食材だけを意識せずに、牛乳や小魚などのカルシウムを多く含んだ食品も同時に摂取するのが大切です。
また、アルコール摂取はマグネシウムの尿中への排泄を増やします。アルコール依存状態の方は低栄養になりやすいのでマグネシウムの摂取そのものも不足しているといえます。アルコールが好きな方は、マグネシウムが含まれた食材を意識して摂取してみましょう。
マグネシウム不足を防いで健康維持
厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準」のマグネシウムの摂取基準は、成人男性で340~370mg、成人女性で270~290mgです。妊婦の場合は300~330mgが基準値になります。これは胎児と妊婦が栄養を共有するためやや多めの基準となります。
マグネシウム摂取は、通常の食材でのリスクは少ないです。しかしサプリや製剤で大量にマグネシウムを摂取すると、高マグネシウム血症になる可能性が高まりますので注意が必要です。サプリや製剤は1日の摂取量を守りましょう。
高マグネシウム血症の症状は、吐き気や立ちくらみ、倦怠感、下痢などを感じるようになり、さらに濃度が高まると心停止や昏睡状態に陥ることもあります。
カルシウムとマグネシウムの理想のバランスは2:1です。なるべくストレスをためない生活を心がけて、マグネシウム不足を解消するよう食生活も見直してみるのもよいでしょう。