結核に感染?感染力や感染経路とは?
結核に感染すると、初期症状では、自覚がなくそのまま数年見過ごしてしまうこともある病気です。
発病すると咳・痰、発熱など、風邪と同じような症状で、つい放置してしまいそうなのですが、症状が長引いてから初めて検査する人が多く、そのために、発見が遅れてしまい、二次感染がふえてしまうという悪循環になりやすい病気です。
咳や痰などが2週間以上も続いたり、良くなったり悪くなったりを繰り返すところが風邪と違います。肺が壊れてしまうので息苦しくなってきたり、ほかの臓器にも支障をきたす怖い病気のひとつです。
日本では近年再び発生率が増加傾向にあり、先進国の中でも数倍の高さの水準にあります。
空気感染、飛沫感染によって感染する
結核菌は結核に感染している人が咳をした空気を感染していない人が吸い込むことで感染します。結核菌は空気感染や飛沫感染でしか感染しません。そのため感染している人と手を握ったり、同じ食器を使うなどでは基本的に感染はしないといわれています。
密室や空気の循環が悪いところでは結核菌が長く空間に留まってしまうので、外に比べると感染率が上がってしまいます。結核菌を持っている人が目の前にいなくても、その空間にいた場合には、空気の中に結核菌が残っている可能性もあります。
近年病院へ行けない人たちや結核の多い地域からやってきた人たちから感染者が増えてきています。人が多いとそれだけリスクも上がるので、人混みや密閉された空間に向かう場合にはマスクなどで予防を心がけましょう。
感染しても必ず発病するわけではない
万が一結核に感染しても、必ず発病するとは限りません。健康であれば菌を吸い込んだ後に人の体は結核菌を抑え込んでしまうので、発病へと至る確率は低いです。しかし体力や免疫力が落ちていたり、病気で抵抗力がないときには、再び結核菌が活発になります。
結核菌が活動を始めると発病するリスクが上がるので、普段からストレスをためこまないようにしたり、規則正しい生活を心がけるようにするのが基本です。
また同時に結核の初期症状が現れていないかを確認しましょう。咳・痰、発熱などが2週間以上続いたり、治ったり悪くなったりを繰り返す場合には結核に感染している可能性があるので、早めに病院で検査をするようにしましょう。
結核はいまや身近な病気のひとつとして数えられます。いつ自分が感染するか分からない現代だからこそ、自己防衛が重要になるので、他人事のように考えずに行動していくようにしましょう!
結核に感染しないための対策と予防
結核に感染しないためには予防と対策がとても重要です。結核に感染しやすくなる原因として、過度なストレスや喫煙、胃潰瘍や糖尿病の人などが挙げられます。そのため規則正しい生活を心がけ、バランスの取れた食事を摂り、体の免疫力を低下させないことがポイントです。
また小さい子どもには必ず予防接種をしましょう。大人と違い子どもは免疫力が低く感染しやすいので、大人と同じ予防・対策をしつつ、予防接種でウイルスに対する抵抗力をつけなければいけません。
自分の生活習慣次第で予防・対策の効果も変わってくるので、規則正しい生活ができるように改善していきましょう。
子どものBCG接種は結核予防のワクチン
産まれてから1歳までに予防接種の推奨がされているBCG接種は結核予防のワクチンです。BCG接種は9本の針がついたものにワクチンをつけて注射します。注射をしてから1ヶ月程度で赤く腫れてきて、その後少しずつ落ち着いてくるのが特徴です。
赤ちゃんが結核に感染するとかなりの確率で髄膜炎に似た重症の病気を発症してしまうのでこのワクチン接種はとても重要です。日本では1歳までに受けるようにといわれているので、必ずBCG接種をさせましょう。
ただしこの接種の効果は10年~15年しか持続しないと考えられているため、子どもも大人と同じように日頃の予防・対策が必要です。
人ごみに出るときはマスクを着用し人の飛沫に注意
人が多い場所や密閉された空間に出かけるときはマスクを着用して人の飛沫に注意しましょう。密閉され、空気の循環が悪い場所では感染源となる人物がいなくても、その場にとどまっていた場合には感染のリスクがあるためマスクでしっかりと予防することが大切です。
また咳が酷い人の近くに寄らないなど、自分なりに危機意識を持つことも必要です。咳をしている人すべてが結核に感染しているわけではありませんが、風邪をもらってしまうと抵抗力も下がってしまいます。
自分が健康で過すためにも、出かけるときはマスクを着用することをおすすめします。
予防接種で結核への感染は防げる?
乳幼児期のBCG予防接種は約10年~15年が予防の限界と考えられています。このBCG予防接種は大人の結核を予防することができないので、就学以降の接種は通常であれば必要ありません。
大人の結核予防法は自身の健康に気を配り、健康な体作りや健康状態の維持が基本です。予防接種を受ければ結核にかからないという意味ではないため、子どもから大人まで健康状態は良好に保つような意識が大切です。
長引く咳には注意!結核感染の検査
結核を発病した臓器により症状は異なりますが、主に結核を発症しやすいのは肺です。肺結核を発病した場合、初期症状として咳、痰、発熱などが現れます。
いっけん風邪のように思われますが、2週間症状が続いたり、治ったり悪くなったりを繰り返すところが風邪と異なる点です。結核に感染している疑いがある場合には検査が必要になるので、必ず医療機関を受診しましょう。
放っておくと結核菌が体内の至る臓器に回ってしまい、死に至ることも考えられます。他の人へも感染してしまうので注意しましょう。
レントゲンなどの画像検査と喀痰検査(かくたんけんさ)で判明
結核はレントゲンなどの画像検査や喀痰検査で調べます。画像検査では結核菌により肺が壊されていないかを診断し、喀痰検査では結核菌の存在を遺伝子レベルで分析します。また顕微鏡で検査することで結核菌を排菌しているかを判明させます。
この排菌とは他人に感染するような形で呼気から吐き出しているかという意味です。検査はとても重要で、他人に移さないためにも必ず検査を受けるようにしてください。治療をするためにも、症状を悪化させないためにも、早めの処置が大切です。
周囲で結核患者が発生した場合も検査を受けよう
自分が結核に感染していなくても、自分の周囲で結核患者が発生した場合にも検査を受けるようにしましょう。万が一知らない間に感染している可能性があります。
発症していなくても、インターフェロンガンマ遊離試験という制度の高い検査を受けるようにしましょう。早めの受診で対策や治療もしやすくなるので、周囲に感染者が出た場合には念のため検査を受けることをおすすめします。
結核に感染、発症するとどうなる?治療は?
結核に感染したらどうしようと心配ですよね。治療は結核を発病して排菌しているか、そうでないかによって異なります。
発病していて結核菌をたくさん排菌している場合には入院での治療が必要で、発病していても排菌をしていないと診断された場合には通院で治療します。結核が発症してどれくらいの期間が経過しているか、個人の体調や体質などによって入院・通院期間も変わってきます。
万が一結核に感染しても、前向きに治療することが大切です。後ろ向きでいては治りも遅くなってしまうので、いざという時のために治療についても知っておきましょう。
基本的に6ヵ月間、3~4種類の薬剤を服用して治療
結核の治療は主に6カ月の間に3~4種類の薬を服用します。現在の治療で使われている薬はリファンピシン、イソニアジド、ストレプトマイシン、エタンブトール、ピラジナミドなどです。
個人の症状や経過によって治療期間が伸びたり、薬が異なります。治療費用は感染症法による公費負担制度で国や自治体からの治療費補助が出ます。薬によって治療しているにも関わらず、症状が改善しない場合には手術が行われることもあります。
最近では手術をする回数も減ってきているため、主に薬剤で治療できます。
「排菌」している場合の入院期間の平均は65日程度
結核を発病し、排菌している場合には入院が必要です。排菌している場合の入院期間の平均は65日程度です。
咳が止まったからといって勝手に薬の飲み方を不規則にしたり、飲むのを止めてしまうのは絶対にしてはいけません。結核菌が耐性を持ってしまい、薬の効かない「耐性結核菌」を作ってしまうので、必ず飲みきるようにしましょう。
耐性結核菌になってしまうと、治るはずだったものが治らなくなってしまうので、必ず薬は医師の指示通りに飲みきりましょう。