女性に多い冷えのぼせとは一体何?
冷えのぼせについて知らない人が、名称だけ聞くと「冷えなのにのぼせてるの?」と勘違いをしてしまいそうですね。ですが冷えのぼせといえば、今や女性の3人に1人がその症状を感じている身近なものなのです。
女性に多い冷えは私たちの身体を病気にさせてしまうほど怖い症状の一つ。今回は冷えが重症化してしまった「冷えのぼせ」についてご紹介します。
冷え性が重症化したもの
冷えのぼせとは簡単にいえば冷え症が重症化したものです。ですが、それじゃあただの冷え性では?と思いますよね。ですが冷えのぼせは「上半身は熱がこもったようにのぼせているのに、下半身は冷えて寒い」という特徴があります。
通常の冷え性と比べると冷え性は手足などの一部が冷えてしまうのに対し、冷えのぼせは上半身と下半身で急激な温度差があるのです。
頭熱足寒
先に述べたことを簡単に表すと「頭熱足寒」という言葉です。頭(上半身)は暑いのに足(下半身)は寒い…。まさに冷えのぼせの状態を表しています。またこの言葉と反対の意味として「頭寒足熱」という言葉がありますが、東洋医学ではこちらの方は健康な状態とされています。
女性の下半身の冷えは婦人科系の病気を招いたり、身体の不調の元になるので早急に改善したい症状になります。
冷えのぼせの原因はどこにある?
では冷えのぼせの原因はどこにあるのでしょうか?冷え性が重症化したものなので、冷え性との繋がりはあるのですが意外な落とし穴があることも。以下の原因に当てはまる人は、もうすでに冷えのぼせに罹っている可能性があるのでチェックしてみましょう。
また自分はきっと冷えのぼせだ!という人も一度原因を見直しすことで改善への道が開けるはずです。
最大の原因は血行不良
冷えのぼせはその症状から更年期障害と勘違いされがちですが、冷えのぼせの最大の原因は血行不良にあります。普段から身体にフィットするような洋服を着ていたり、下半身を締め付ける効果のある下着を着用している人は一度服装を見直してみると症状が改善することがあります。
また温度差が激しい場所で身体を冷やすことも冷えのぼせの原因となるので、特に夏場や冬場は気を付けましょうね。
骨盤のゆがみが下半身冷えの原因
普段から姿勢が悪い・猫背が癖になっている人や、左右どちらかの足に重心を置いて立つ癖があったり足を組んで座るのが好きな人は骨盤が歪んでいる可能性があります。
また出産をして間もない人も出産により開いた骨盤が歪んでしまっているもあるので、一度真っすぐ立って骨盤が歪んでいるのかチェックしてみましょう。
裸の状態だと分かりやすいのですが、左右の手を腰に当てて鏡を見るとどちらかの手が上でもう片方の手が下になっていることはありませんか?
骨盤が歪むと腰回りの血行が悪くなり冷えの原因となります。下半身の血行が骨盤の歪みにより悪くなると、上半身の血行が上手く下半身へ流れ込まなくなるので、下半身が熱を作り出すことが困難になってしまいます。
お尻の筋肉が硬いと血流が悪くなる
お尻の筋肉について意識している人ってどのくらいいるのでしょう?美尻・後姿美人を目指す人にとっては当たり前のことかもしれませんが、実際私も意識して動かさないようにしないとお尻の筋肉って気にしません。
筋肉が硬くなっているのかもわからないかもしれない人も中にはいるかもしれませんね。
お尻の筋肉が硬くなっているとお尻の下にある坐骨神経を圧迫してしまい、血流が悪くなってしまいます。デスクワークが多い人や家で座ったままの時間が長い人は特に要注意です。坐骨神経が圧迫されると下半身の血流自体も悪くなるので熱が作りにくくなってしまいます。
ストレスが溜まっている
ストレスを感じることが多い社会ですが、そのストレスも冷えのぼせの原因の一つです。ストレスを感じると自律神経やホルモンバランスが乱れてしまい、バランスを崩してしまいます。自律神経は私たちの身体の体温を一定に保ち、血流をコントロールする働きをもっています。
それがストレスにより乱れてしまうと血流が悪くなり冷えのぼせの原因となるのです。またストレスは自律神経を乱すだけでなく、ホルモンバランスを乱したり、身体をサビさせてしまうことに繋がります。
なるべくストレスフリーの生活を心掛けたいものですが、今の社会では難しいことですよね…。
冷えのぼせになるとどんな症状に悩まされる?
冷えのぼせの原因について分かったところで、実際冷えのぼせになるとどんな症状に悩まされるのでしょうか?冷えの症状はもちろんのこと、意外とこんな症状が!という驚きもあると思います。
また以下の症状に複数当てはまる人は当然「冷えのぼせ」の可能性があるので早急に改善するようにしましょう。
上半身は暑く下半身が寒い
上半身は火照っていたり、汗をかいているのに下半身は寒い…なんてことがあったら冷えのぼせに罹っている証拠です。また上半身は火照っているけど冷えの症状を感じない、上半身と下半身の温度差が激しいといったことも冷えのぼせの症状になります。
また暑くもないのに顔が赤くなるといったことも起こります。
頭痛が多い
更年期障害の症状の一つにも頭痛がありますが、更年期に対し冷えのぼせは年齢は関係ありません。冷えのぼせで感じる頭痛は片頭痛を感じる人が多く、頭の片側がズキンズキンと痛むことがあります。
慢性的な頭痛になると病気の可能性もあるので、冷えを伴っているか・冷えのぼせなど他の症状と一緒に症状が出ているかをよく判断し、よくならないようなら病院で診察を受けた方が良いかもしれません。
頭がボーっとする
頭がのぼせたようにぼーっとしたり、風邪を引いているような症状が出る場合もあります。また頭の他にも頬などものぼせを感じることがあります。
のぼせの原因としては自律神経の乱れが考えられています。心臓や頭に血は滞りなく送られているのに、下半身の血が滞ってしまい冷えのぼせの症状として現れるのです。
寝ようと思ってもなかなか寝れなくなる
夜に身体が火照ってしまいなかなか寝れない、下半身が寒くて寝つきが悪いといったことはありませんか?冷えのぼせの症状に、寝つきが悪くなることがあります。また寝れれないのでストレスが溜まると悪循環の繰り返しとなり冷えのぼせが改善しません。
どうしても寝られないというときは身体を温めることで寝れるようになるので、温かい飲み物を飲んでみましょう。しょうがを入れると身体を効果的に温めることができますよ。
肌の調子が悪くなる
血流が悪くなると自律神経が乱れるだけでなくホルモンバランスも崩れてしまいます。ホルモンバランスが崩れると健康な肌を保つためのホルモンの分泌が減ってしまい肌荒れの原因になります。
また血流が悪くなることで身体の隅々まで血が行き渡らなくなり、必要な栄養も行き渡りません。顔色も悪くなりますし、シミやシワ、ニキビなどの肌トラブルも増えてくるので、冷えは女性にとっての大敵といえます。
肩こりがひどくなる
長時間同じ姿勢でいたり、デスクワークが多い人に多い症状です。同じ姿勢を長時間続けることで血流が悪くなり、筋肉が固くなってしまうことから肩こりに繋がります。
対策としては適度に身体を動かすことです。身体がこわばってきたなと思ったら思いっきり伸びをしてみましょう。
手のひらや足など汗をかくことがある
下半身は冷えているはずなのに汗をかいてしまったり、暑くもないのに手や足に汗をかいてしまうことも冷えのぼせの症状の一つです。大量に汗をかく人もいますし、握り汗くらいの少量の人もいます。
またなかなか自覚症状がないという人もいるので日頃からなにか気になる症状がある場合には冷えのぼせを疑った方がよいかもしれません。
冷えのぼせを解消したい!対策法は?
冷えのぼせを放っておくといつまで経っても症状が良くなりませんし、女性特有の病気に繋がってしまうこともあるので早急に改善したいものですよね。冷え性対策をしてこなかった人も、対策をしたけどどれも効果がなかったという人は以下のことを試してみるのはどうでしょうか?
血行が良くなるようにストレッチ
簡単なストレッチで良いので定期的に身体を動かすようにしましょう。身体がこわばってしまうと血行も悪くなってしまいます。特に同じ姿勢が何時間も続く人やデスクワークの人はストレッチを積極的にするようにしましょう。
骨盤のゆがみを治す
骨盤の歪みは冷えのぼせだけでなく、女性にとってマイナスの症状しか生みません。下っ腹のポッコリお腹や腰痛、全身のバランスが崩れるといったことまで引き起ります。骨盤が歪んでいる人はストレッチに加えて骨盤矯正を取り入れてみましょう。
骨盤矯正用の下着を使用しても良いと思いますが、締め付けが強いと血行を悪くしますので注意しましょう。また骨盤がひどく歪んでいる人は家でのストレッチで骨盤を治すことが難しくなっているので、整体などで治してもらう必要があります。
お尻の筋肉をほぐす
お尻の筋肉が硬いと血行不良になることは先に述べたので分かっていると思います。原因となることを改善することで、その症状を軽減したり解消することができるのでお尻の筋肉をほぐすように習慣化してみましょう。
いつもより多く歩いてみたり、自分でほぐすように揉んでみてもいいと思います。しかし激しい運動はかえって逆効果になるので軽い運動に留めておきましょう。
ストレスを解消する
ストレスを溜めてしまうと自律神経に支障が出てしまい、血行不良の原因になります。なのでストレスを溜めないようにすることが大切なのですが、忙しい日常を送っている人にとってはなかなか難しいことですよね。
溜まってしまうという人はストレスを発散する方法を考えておきましょう。溜まってしまうのは仕方のないことです。しかし、溜まってしまったストレスをそのままにしておくのではなく適度に発散させることで解消していく必要があるのです。
お風呂はゆっくり浸かる
身体を温めるのが最も効果的です。お風呂はシャワーのみで済ませている人や、お風呂に使ってもすぐに上がってしまうという人は身体が芯から温まっていない可能性があります。
しっかりと湯船に浸かり、時間をかけてお風呂に入るようにしましょう。身体が温まると血行も良くなります。
下半身をしっかり温める
冷えのぼせは下半身が冷えてしまう事が特徴ですが、下半身をしっかりと温めることも解消にはとても大切なことです。上半身と下半身の温度差をできるだけ無くすことで冷えのぼせを改善することができます。
職場など自分で室温を調整出来ない人はひざ掛けを使用するなどして下半身を冷やさないように対策をしましょう。腰にホッカイロなどを当てておくのもおすすめですよ。また冷たいものの飲みすぎ・食べ過ぎなどにも気を付けましょうね。
冷えのぼせを改善するために有効な治療や薬は?
冷えのぼせの治療に効果的な治療は針治療と漢方がおすすめです。針治療は鍼灸院に行って治療を受けなければいけませんが高い効果が期待できます。漢方であれば病院で処方してくれるので針治療よりも治療方法としては取り組みやすいのではないでしょうか?
のぼせの改善に針治療
針治療(鍼灸治療)では主に冷え性、冷えのぼせに対する治療を行うのではなく、身体の内側「精気の虚」である内蔵の機能的失調を治療することを目的としている医院が多いです。
冷え性や冷えのぼせの根本的原因は内蔵の機能的失調だと考えられているので、針治療で身体の内側から良くしていくことが重要になります。
冷えの改善に漢方薬
冷えに効く漢方にはいくつか種類があります。
桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)・・・主にのぼせや下半身の冷えに用いられる基本処方の一つです。体力があり、冷えや生理不順、肩こりや頭痛持ちの人に処方されます。桂枝茯苓丸には滞った血の巡りを良くする効果があるので、血行不良解消に役立ちます。
加味逍遙散(カミショウヨウサン)・・・血流を良くし身体を温めるもの、上半身の熱を取ってくれるもの、痛みを和らげてくれるものといった効果のある生薬から成されているので冷えのぼせに効果的な漢方になります。また便秘傾向の冷えや更年期障害、不妊症などにも用いられます。
当帰四逆加呉朱萸生姜湯(トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ)・・・特に冷えが強い人や頭痛、のぼせなどに用いられる処方です。身体をとても強く温める効果があるので冷え性が軽いと飲みにくい漢方になります。
冷えに効く漢方なら何を飲んでも良いという訳ではなく、自分の症状にあったものを使用することが大切ですので病院で症状を詳しく説明して、自分にあった処方をもらいましょう。