若年性認知症の初期症状とは?原因とチェック項目について解説! |

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若年性認知症の初期症状とは?原因とチェック項目について解説!

若年性認知症!?症状が出やすい年齢は?

認知症は高齢者ばかりに見られる病気ではありません。

若年性認知症は物忘れの増加に始まり、年齢が若いからと放置すると深刻なアルツハイマー型認知症などにつながります。また若年性認知症にもさまざまなタイプがあり、そのタイプにより発症しやすい年齢や性別もあります。

18-64歳までを若年性認知症、発症は40-50代が多い

認知症は発症時期により、18歳以上65歳未満を若年性認知症、65歳以上を老年性認知症と呼びます。発症年齢の平均は40代~50代が最も高くなっていますが、早ければ高校生であっても発症する可能性があります。

この40代以降の世代は自身の両親が認知症で介護が必要な場合があります。それなのにさらに自分自身も認知症になってしまうという可能性もあり、家族的、社会的にも大きな影響を与えます。


人やタイプにより症状が違うが、若年性は高齢者よりも進行が速いのが特徴

若年性認知症は高齢者の認知症と比べて進行が速いのが特徴ですので、早期発見と早期治療がとても重要です。早期発見して治療をすれば、症状の進行を遅らせることもでき介護負担も減ります。

また、早期であれば判断力や理解力も保たれているので、自身が病気であることを受け入れ今後の人生設計を考える有意義な時間が持てます。

若年性認知症は、本人が自分で「おかしい」と気が付くのが難しい場合があります。疲れや更年期障害、うつ病などと誤解してほかの医療機関を受診してしまい、発見が遅れることがあるからです。

家族や仲の良い友人、会社の同僚などが異変に気付いて受診をすすめるのも早期発見の1つの方法です。

受診するときは医療機関にCTやMRIなど、脳の検査が行える設備のある病院がよいでしょう。脳神経外科・神経内科・物忘れ外来などの専門医を受診し、その際は必ず家族も付き添ってください。

男性は脳血管性、女性はアルツハイマー型になりやすく、認知症の半分はアルツハイマー型

若年性認知症には原因がつかめているものといないものがあります。

原因がつかめている認知症

  • 血管性認知症
  • 頭部外傷性認知症
  • アルコール性認知症など

原因がつかめていない若年性認知症

  • アルツハイマー型認知症
  • ピック病
  • パーキンソン病
  • レビー小体病など

また、若年性アルツハイマー型認知症は「プレセニリン」という家族性の危険因子が関与しているのが分かっています。遺伝により発症する可能性があるのですが、しかしそれも一部のケースで現時点で大半はまだ分かっていません。

脳の神経細胞が消失してしまう病気の総称を認知症と呼ぶのが正しいとされていて、原因や特徴から脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症の2つに大きく分けられています。さらにこの2つの要素を持ち合わせた認知症を複合型認知症と呼びます。

脳血管性認知症は男性に多く、原因は脳血管疾患の後遺症であり、脳卒中や脳梗塞の発症など脳の働きが悪くなるのに伴って起こります。

自覚症状は初期段階にあり、人格は保たれる場合も多いでしょう。良くなったり悪くなったりと一進一退を繰り返しながら進行し、悪化します。

多発性脳梗塞などで何度も小さな脳梗塞が起きている場合は、その都度症状が悪化していきますし、障害を起こした脳の場所によっても引き起こされる症状が変わってきます。

また認知症の半分以上を占めるといわれるアルツハイマー型認知症は女性に多く見られます。アルツハイマー型は脳の神経細胞が急激に減少して脳が病的に委縮する病気です。

自覚症状がなく少しずつ確実に進行していき、悪化すると知能低下や人格的に崩壊してしまう場合が多いという特徴があります。複合型認知症はアルツハイマー型と脳血管性認知症の特徴が複合している認知症です。


若年性認知症の初期症状は?

若年性認知症では物忘れの症状が見られます。大切な予定を忘れてしまった場合に、忘れたことを指摘されても予定を組んだこと自体を忘れてしまうため「忘れていた」ことも思い出せません。

ほかにも、今日の日付や自分がいる場所がどこかわからなくなります。そのため書類などに日付を書こうとしても書けない、道に迷うなどが度重なって「おかしい」と気付く場合があります。

【脳血管性】言葉が出てこない、情緒不安定などまだら型になりやすい

脳血管性認知症は脳梗塞や脳出血、脳動脈硬化など脳の血管障害が原因です。糖尿病や高血圧症、脂質異常症などの生活習慣病がきっかけとなることが多いです。特に注意が必要なのは、急性による大きな脳出血や脳梗塞の場合です。

このとき意識障害・麻痺・言語障害などの症状が現れることが多いのですが、家族や周囲の人々はそれらの急性期の症状にばかり注目してしまうので、症状が落ち着くと残された認知症の症状を見逃してしまうケースが多いのです。

また脳血管性ではまだら認知になる特徴があります。具体的には、言葉が出てこず、「あれ」「これ」といった表現が多くなります。

ほかにも、はっきり理解や判断ができたりできなかったりなど知的機能障害・自分から何かを始められないなど意欲や集中力の低下・泣いたり怒りっぽくなったり感情が不安定になる人格の変化などです。

これらの症状は家庭で療養中など保護的な環境に置かれていると表面化しません。職場復帰などをきっかけに見え始める場合が多いでしょう。完治していると思っていても慎重に観察する必要があります。

【アルツハイマー型】頭痛やめまい、物忘れや不安感

アルツハイマー病は異常なたんぱく質が脳内に溜まり、情報を伝える神経回路に悪影響を及ぼして脳細胞を死滅させ、脳が委縮するのが原因で起こる病気です。

初期症状は、頭痛やめまい・仕事などがスムーズに進められなくなり作業効率の低下や意欲の低下・ドアがあるのに部屋から出られない・誰かから本人の目の前にある物を取って欲しいと言われてもその物が何なのか結びつかず取れないなど、失認・視空間失認が起こりやすくなります。

また、頭痛やめまい、作業効率の低下や意欲の低下などはうつ病や更年期障害の症状でもあり、若年性認知症の症状と区別が難しいので注意深く判断する必要があります。

若年性アルツハイマーを家でチェックする方法として、時計を書いてもらうというのがあります。アルツハイマーの症状があると時計の文字盤を書いてと言っても正確に書けません。また何時何分と指定して針を書いてもらっても正確に書けない場合が多くなります。

【レビー小体型】パーキンソン病やうつ病に似た症状

レビー小体型はアルツハイマー型に次いで多い病気です。もの忘れの症状もあるので、一見アルツハイマー病に似た特徴があります。また、手足が震えたり動きが遅くなるパーキンソン病に似た症状も見られます。

他の典型的な症状として、幻視・幻覚・幻聴・便秘や血圧の変動など自律神経の機能障害・無反応・錯乱などの症状があり、日によって症状に変動があるのも特徴です。

何もない所に向かって話しかけたり怒ったりするため、精神疾患やうつ病と間違われる場合もあるので、治療のためには専門家の正確な判断が必要です。

特にレビー小体型のもの忘れは、神経伝達物質であるアセチルコリンの低下が関与しているので、これを増加させる治療を行うともの忘れが改善します。早期発見し、適切な治療を受ければ治療効果が期待できる疾患でもあります。


若年性認知症の進行段階やその症状

若年性認知症が発症したからといっても、すぐに何もかも忘れてしまうわけではありません。

更年期 めまい

脳血管性認知症の場合は、発作が起こるたびに段階的に認知症の症状が進行していきます。しかし生活習慣病のコントロールが十分にできていれば認知症の症状の進行は止められます。

アルツハイマー型認知症の場合は、ゆるやかに進行していきます。初期・中期・後期の3つのステージに進行経過が分けられます。

脳血管性は発作のたびに段階的に進行が進み、言語障害や運動機能が低下

脳血管性認知症は、さっき食べた物を忘れてしまうような、もの忘れの症状が目立っていても理解力が必要な判断や受け答えがしっかりできるときもあります。

また1日のうちでも同じことをやって、できたりできなかったりが繰り返し起き、日替わりでも調子の良いときと悪いときがあります。

これは、まだら認知症の症状で脳梗塞や脳出血などで脳の中に障害が起きている場所とそうでない場所があるため、脳の血流の状態の良し悪しで起こります。脳の血流が悪い状態のときは、本人の意思とは関係なくボーっとしてしまうので何もできません。

動脈硬化が進行して発作を繰り返すとその度に認知症の症状がだんだんと悪化する可能性があるので、高血圧や糖尿病などの生活習慣病のコントロールを十分に行いましょう。

アルツハイマー型は中期・後期とあり発病から4-6年で末期へ進行

アルツハイマー型認知症の症状の現れ方や進行速度には個人差がありますが、初期には徐々に記憶力が低下して、何度も同じことを聞いたり、物を置いた場所を忘れたり、日付や時間の見当がつかなくなります。

この段階では日常生活は送れますが、仕事をしている方には大きな影響を及ぼしてストレスを感じるので、感情的に不安定になったり意欲低下したりとうつ症状が現れる場合もあります。

若年性認知症は進行が早いので、初期・中期・後期と発症からおよそ4~6年で寝たきりになってしまうケースもあります。

中期には現在と過去の区別がつかなくなり、後期には寝たきりになる場合も

中期には記憶障害がさらに進行して、ついさっきしたことも忘れてしまいます。この段階ではまだ過去の記憶はしっかり覚えています。

普段から使用していた家電や道具の名前が思い出せなくなったり、使用方法も分からなくなってきます。前頭葉など思考をコントロールする脳の機能が低下するので、言語障害が起こったり自分がどこにいるのかも認識できなくなります。

すると混乱がひどくなり被害妄想が現れたり徘徊したりする場合も出てくるので、日常的な介護が必要になってきます。後期には記憶障害が重篤になり、家族や友人の顔も忘れてしまいます。高度アルツハイマー型認知症となって、会話やコミュニケーションがとれなくなります。

最近の記憶だけでなく過去の記憶も忘れてしまうので、自分のことも分からなくなってきます。尿失禁や歩行、飲食も困難になるので、最終的には寝たきりの状態になります。


若年性認知症の原因や症状からのチェック方法

若年性認知症は、早期発見が重要なキーポイントです。

症状としては若年性も老年性も大差がありません。しかし若年性の場合は自身の状態を受け入れることが困難な方が多く、周囲の人は本人に対して、常に安心感を感じられる対応が必要になります。

もし自分自身や、あなたの家族、友人の「おかしいかな?」といった気づきがあれば、早めに専門機関を受診するのをおすすめします。

「若年性認知症の気づき」のチェックポイントとして

  • 同じことを何度も聞く
  • 伝言したことがうまく伝わらない
  • 電車・バスで乗る駅や降りる駅がわからない
  • よく知っている道なのに迷ってしまう
  • 通帳、印鑑、財布などをよく失くしたり、家族が盗んだと言う
  • いつも同じ服を着て着替えるのを嫌がる
  • 家電製品の使い方がわからない
  • テレビや新聞を見なくなったり関心がなくなる
  • 入浴を嫌がる
  • 好きだった趣昧の活動をしなくなる
  • ガスの火を消し忘れたり、鍋を焦がす
  • 水道の水を出しっぱなしにする
  • 外出をしたがらない

頭部外傷や脳の萎縮、遺伝、生活習慣病の乱れなどが原因になりうる

勘違いされやすいのが、若年性認知症イコール若年性アルツハイマー病ではありません。さまざまな種類があり、その種類ごとに原因や症状、治療方法が違います。

働き盛りの年齢で発症する若年性認知症の原因となる病気で最も多いのは脳血管性認知症(39.8%)で、次にアルツハイマー型認知症(25.4%)、事故や怪我などで頭を損傷により起こる頭部外傷後遺症(7.7%)、前頭側頭葉変性症(3.7%)、アルコール性認知症(3.5%)、レビー小体型認知症(3.0%)の順番です。

脳血管性認知症やアルコール性認知症は、普段の生活を見直せば発症自体を予防できます。十分な睡眠や適度な運動、栄養バランスの良い食事など生活習慣の見直しをして生活管理をしっかりと行えば予防できるのです。

また家族や友人、同僚など人とのコミュニケーションを積極的に取るのも脳の刺激になり予防につながります。

若年性アルツハイマー病・アルツハイマー型認知症の原因の1つに、遺伝子があります。アルツハイマー型の発症リスクをはかる「APOE遺伝子検査(株式会社MCBI)」といわれるものです。

アルツハイマー病の発症に関与する遺伝子のひとつにAPOE遺伝子があります。「APOE遺伝子検査」は、血液検査でAPOE遺伝子の型を調べることにより認知症を発症するリスクを測定する検査です。APOE遺伝子にはε2、ε3、ε4の3つの遺伝子型があり、ε4型を持つ方はアルツハイマー病を発症するリスクが高いことが分かっています。

参照元:http://saito-naikacl.com/blog/1239/

◆軽度認知障害(MCI)早期発見検査・APOE遺伝子検査の情報

http://mcbi.jp/

セルフチェックは毎年新しいもので判断の目安の一つとして

若年性認知症の発症は働き盛りの年代が多く、発症しても仕事の疲労や更年期障害を理由に診断が遅れがちです。

たとえ仕事に支障が出たり生活面で困ることがあったりしても、年齢が若いから何でもないと認知症に気付かない人が多く、症状がかなり目立つようになってからようやく受診するような場合が多いのが若年性認知症の診断が遅れる原因になっています。

最近物忘れがひどくなった気がする方、ちょっとでも心配になった方は以下のチェックリストで現在の状況を見直してみてください。またセルフチェックする場合は毎年新しいものを使用して、判断材料の1つの目安として使用してみてください。

https://www.takedahp.jp/topic/monowasure/checklist.php
医療法人康生会 武田病院画像診断センター

定期健診や脳ドックは早期発見の近道

若年性認知症の予防は、早期発見と早期治療が重要です。早期発見ができると症状の進行を遅くする治療の可能性があるからです。また将来に向けて家族が話合う時間も取れますし、お住まいの自治体や医療機関のサポートが早期に受けられます。

アルツハイマー病かどうかを判断するのに、医療機関を受診してから平均で半年ほど時間がかかるという結果が出ています。早期発見の近道として定期健診の受診や、何かおかしいと変化を感じたときは脳ドックを受けてみましょう。


若年性認知症の症状?と思ったら早めに受診を

認知症は高齢者だけに起こるものではなく、若い人にも起こる脳の疾患です。

これを予防するには、まず生活習慣の見直しが重要です。睡眠不足や運動不足、脂っこい食事など生活習慣病のリスクが上がる生活を見直して規則正しい生活を意識的に行いましょう。

もし自分に変化を感じたときはセルフチェックをやってみて、あてはまる項目が多い場合は早めに専門機関を受診しましょう。